ブラック歯科医院の定義とは?「投資」と「消費」の違いを知り医院の組織力を上げる

前回の記事では、移り変わりの激しい時代に強い組織を作るためには「提案型ミーティング」が必要であることを解説しました。

自由闊達な雰囲気の中でスタッフに様々な課題を提案してもらうには、「なぜそれについて考えなければいけないのか」「なぜ実行するのか」の「なぜ」を理解しておいてもらわなければなりません。

今回はブラック企業を深掘りするところから、「なぜ」について考えてみます。

「ブラック歯科医院」の定義を考えたことはありますか?

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(画像=moonrise/stock.adobe.com)

ブラック企業の実態とは「過去の成功モデルを引きずった企業」

メディアなどでよく耳にする「ブラック企業」。あなたの歯科医院はブラックな歯科医院になってはいませんか?

上からの指示に従って現場が懸命に働き、その「我慢代」として給料をもらう概念はすでに古く、終わりを告げました。モノ不足だった大量生産時代であれば、こうした企業は「ブラック」ではありませんでした。

しかし、今は院長の指示に従っているだけで通用する時代ではありません。なぜならば明確な正解がない時代だからです。個性なき機械的な集団では崩しが利かないのです、刻々とした変化に対応する「柔らかな」組織が必要です。

歯科の世界も変化しました。昔は虫歯に困っている人がたくさんいたため、目の前の虫歯の治療が第一の優先事項でした。しかし今は歯科矯正や歯科保存など患者の将来を見据えた診療にも対応するようになっています。

こうした観点からみると、ブラック企業の実態とは「過去の成功モデルを引きずった企業」であり、「成功モデルなんだけど、ちょっと古くないですか?」と感じてしまう、時代とズレのある企業と言えるのです。

ブラック企業の定義は「お金をもらえても成長できない企業」

「ブラック企業の定義は何ですか?」という問いに、私は「お金はもらえるけど成長できない企業」と答えます。

「お金さえもらえているならばブラックではない」と感じる方もいるのでしょうが、成長できない=時代に置いていかれる、ともいえます。決して「悪」ではないのですが、やはり古い。

「余計なことを考えず、ただ指示に従って動いていてほしい」といった考えは、正解のない現代社会では通用しないのです。

今の時代、人は何をモチベーションとして働くのか?

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(画像=taka/stock.adobe.com)

大量生産が評価される時代から自己充足を求める時代へ

モノが不足していた戦後は大量生産が求められましたが、高度経済成長期を経て、モノが満ち足りている現代は価値感や働き方も変わりました。「費やした時間分だけ対価をもらえる」から「個性を生かした仕事が評価され、お金をもらう」労働にシフトしたのです

では、現代において人は何のために働くのか。それは、単なる「お金のため」ではなく精神的な充足感を得るためとも言えます。自分の個性を生かした仕事に対して、「褒められて、お金をもらう」。それが現代の働き方なのだと思います。

歯科業界における「消費」と「投資」の違いとは?

「褒められて」「お金をもらう」には成長を続けていかねばなりません。成長には、自分自身への投資が必要です。

ビジネスパーソンが意識しているものに「消費」と「投資」の違いがあります。ビジネスでは重要な概念ですが、これを歯科の現場に置き換えると、どのようなことになるのでしょうか?

私は、一人の患者さんに対して、「どれだけの思考量があったか」が消費と投資を分ける鍵だと考えています。

例えば、症状を治したとしても思考量がなかったのであれば、歯科医師にとっては単なる「消費」です。反対に治療の記録を取り、治療後に見返し、プレゼンでアウトプットをするなど十分な思考量があったのであれば、それは立派な「投資」になります。

同じ時間を使って診療したケースでも、どれだけ一人の患者さんのことを考えたのか。その積み重ねが将来的にキャリアの違いとなって現れてくると思います。

なぜ今の若いスタッフは「がんばらない」のか?

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(画像=naka/stock.adobe.com)

「メンタルを削らない」が今の基準

院長の悩みの一つにスタッフのマネジメントが挙げられます。「自分と同じようにがんばってくれるはず」と現場に期待している院長は少なくありません。しかし実際には、経営者と同レベルでがんばり続けられるスタッフはそう多くはいません。

また、若者を中心に、今の人たちは「自分のメンタルをできる限り削らないように」といった意識を基準に動いています。心身を削って働くことで、昔はそれなりのリターンが得られました。

しかし、現代はそうではないのです。「すり減らしてがんばったところで、今は時代も変わって換金率が違うでしょ?」ということを、若い人たちは感じています。

それなのにその状況を「やる気がない」とネガティブに捉える歯科医師もいます。「俺たちの頃は、がむしゃらにがんばった」「夜も寝ずにがんばった」。今の時代にその言葉は本当にマッチするのでしょうか?。

ミスが起きるのは仕組みの問題、なのに自分のせいにされる

そもそも、大原則として人はみんな弱く、人間である以上誰だってミスを犯す可能性があります。しかし、「人は弱い」「人間はミスを犯す」という前提で社会の枠組みが設計されていません。多くの歯科医院でも、このような前提で仕組みが作られていないのです。

それなのに何か問題が起きたときは、ミスした人を責めてしまいがちです。人を責めたところで、ヒューマンエラーは必ず起こりますし、必要以上の叱責はミスした本人はおろかスタッフのモチベーションまで低下させます。しかし、実際はミスが生じてしまうような仕組みに問題があるのです。

仕組みとは固定された唯一のものではなく、トライ&エラーを繰り返しながらより良くしていく「遊びやパズル」に近い感覚のものです。課題をひとつずつ着実に改善し、仕組みを構築していきましょう。

仕組みを作る提案型ミーティング

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(画像=Thitiphat/stock.adobe.com)

提案型ミーティングを推奨する理由

私がスタッフにアイデアをあげてもらう「提案型ミーティング」を推奨している理由は、大きく2つあります。

  1. 目指すべき方向に最短で進むため
  2. 人の弱さを励まし合う

目指すべき方向に最短で進むための仕組み

目の前の問題を解決していた時代に必要とされたのは、上からの指示を現場に下ろす場です。個人の意見や考えはかえって邪魔でした。しかし、最短で目的地に向かうことが求められる現代は、個々の強みを生かした強い組織でないと進めません。その組織を作る仕組みが提案型ミーティングなのです。

励まし合いも「仕組み」のひとつ

そもそも、人間の弱さは決して悪ではありません。クリエイティブの源泉であり、次の一手を考えるための糧になります。私にもできないことがたくさんあります。みんな強くて、完璧ならば、各自が好き勝手に動けばいいわけで、ミーティングなんて不要です。

ミーティングが必要なのは、各自の弱さから「じゃあ、どうすればいいか?」とみんなで打ち手を考えるためです。「私は弱いんです」に対し、ぜひ「っていうことは?」を心の中で付け足してみてください。「っていうことは、じゃあどうしていこうか?」を積み重ねていくことで、組織は成長していくのです。

今回のまとめ

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(画像=Paylessimages/stock.adobe.com)

失敗の許されない診療に「とりあえず」はありませんが、診療以外の部分においては、「とりあえず、1ヵ月やってみましょう」といった試行錯誤が大切です。提案型ミーティングによって、みんなが進みやすい仕組みを作っていきましょう。

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