歯科医院の不安解消、メンタル残高を減らしたくない若いスタッフの正しいマネジメント法

昨年までの常識が、1年後には通用しない―。

歯科医院が変化の激しい現代社会で患者に選ばれ続けるためには、歯科医師の目線だけではなく、経営者の目線も必要となります。経営者としてスタッフのマネジメント力が求められる中、良い組織ができずに苦労している方も多いのではないでしょうか?

組織運営が上手くいっていないと、診療外の業務だけで疲弊してしまうものです。そこで、本連載では歯科コンサルタントとして、自身の成功体験や失敗体験から「後輩医師にこれだけは伝えたい」という思いで年間200件以上のセミナー活動を行う角祥太郎が、組織を最適化するミーティングについてお話しします。

歯科コンサルタント・角祥太郎とは?

営業成績で頭角を現した勤務医時代

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(画像=Ameashi/stock.adobe.com)

学生時代はプロレスやバンド活動に明け暮れるなど目一杯青春を謳歌した私ですが、歯科医師としてのキャリアは医療法人社団「海星会」からスタートしました。働き始めた頃に意識していたのは「どうすれば患者さんに歯科の必要性を伝えられるか」「どうやって患者さんから歯の悩みを聞き出せるか」という点でした。

なぜこの二つに絞ったのかというと、患者さんに伝えたり聞いたりする能力は、治療とは別のスキルなので、歯科医師としての経験が浅い私でも勝負できるのではと考えたからです。

そのような気持ちで一人ひとりの患者さんに必要な治療を提案していただけなのですが、結果的に、保険適用外治療を選ぶ患者さんが増えるなど、いわゆる「営業成績」という思いもかけないところで頭角を現すようになっていました。

臨床医から経営までひと通り経験

海星会では、臨床医から理事長、代表取締役と現場から経営までひと通り経験しました。当時は出世欲が旺盛で、キャリアアップに喜びを感じてはいましたが、一方で「目の前にある現実」と「本当にやりたいこと」との乖離が生じ、自分の中で折り合いをつけるのがだんだんと難しくなっていました。

その頃の私は、歯科医師のかたわらお笑い芸人としてR-1グランプリに出場したり、バンドを組んでマキシマムザホルモンと対バンし、プロレスラーとして曙選手と対峙するなど、いろいろな活動をしていました。今思い返せば、歯科医師という仕事に本気で向き合う覚悟ができていなかったのでしょう。

1歳の子供が亡くなったことが人生と向き合う転機に

転機となったのは、難病を患っていた下の子どもが1歳で亡くなってしまったことです。その考え方ががらりと変わり、いくら名誉やお金があったとしても、自分の価値観に合っていない仕事は精神的に続かないと気づいたのです。

海星会では売り上げが3億円から11億円にアップするなど事業の成長に成功しましたが、「結果は出せるけど、ワクワクしない仕事」というのは、つらいものでした。さらにその後、自分のマネジメントミスで信頼を失ったり、大きく数字を落としてしまったり、たくさんの挫折を経験しました。診療以外の業務で悩み潰れてしまう体験を経て、働く動機「コア(=楽しいと感じ、やりがいが得られるもの)」を見つけたいと思うようになったのです。

「コア」を発見し、歯科コンサルタントの道へ

自分自身のコアを見つけるには「なぜ?」を自分で突き詰めていくことが重要です。例えば、私は以前から前歯の治療が好きでした。そこで「なぜ前歯の治療が好きなのか?」を突き詰めてみた結果、患者さんが歯のケアをがんばるように変化するから」という気づきがありました。

前歯を治すと人は…

  • 歯を隠さずに笑うようになる
  • 明るくなる
  • 行動的、活動的になる(=行動変容)
     →さらに歯のケアをがんばるようになる

こうした自分の志向をさらに深掘りすると「私は人の行動変容が好き」というコアが見つかりました。

この経験から「対スタッフなら〇〇」「経営なら〇〇」など、他の要素のコアも見つけられるようになりました。すると、各要素の掛け合わせで、歯科医院のさまざまな課題に対応できるようになっていったのです。

そして当時、資格や実績だけではなく、「角 祥太郎=○○」というものが欲しいと思っていましたので、自分の強みを見つめ直してみました。周りの方々に評価されていることを考えたとき、そこにあったのが私の経験や発見を伝えるセミナーであり、歯科コンサルタントでした。

特殊な経歴から得た「5つの視点」

このような紆余曲折を経て、現在コンサルタントとして活動をしておりますが、歯科コンサルタントとして私には5つの視点があります。

1.「指導する側の視点」
   →歯科医院セミナーやミーティング指導で得た
2.「雇われる側の視点」   
   →勤務医からサラリーマン経営者になる過程で得た
3.「経営する側の視点」   
   →医療法人で200名以上をマネジメントした経験から得た
4.「起ち上げる側の視点」  
   →起業経験から得た
5.「飛び出していく側の視点」
   →海外事業などの経験から得た

この5つの視点は、特殊な経歴から得た私のアイデンティティです。現在はこれらの視点を後輩の歯科医師に伝えられたら、という一心で全国を飛び回っています。

前置きが長くなりましたが、私はセミナーやコンサルティング活動を通じて変化の激しい時代への対応策として、「ミーティングの必要性」を説いています。この連載でも、ミーティングについて解説させていただきますが、その前に大前提として、今の時代には「正解がない」ことを知っておいてほしいと思います。

組織力強化のために院長が知っておくべきこと

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(画像=BrunoWeltmann/stock.adobe.com)

「正解のない社会」への変化

社会のニーズに合わせて姿を変えていかない企業は淘汰されますが、それは歯科医院も同じです。60年ほど前まで、虫歯は「原因不明の病」でした。なぜか歯に穴が開く病気として「削らねば」「穴を埋めなければ」といった治療がなされてきました。

とにかく目の前の問題を解決する治療をしていれば正解だったのです。指示に従ってモノを作り続けていればよかった大量生産時代と似ていますね。

しかし今、モノは溢れかえるほどあり、「なぜ作るのか」という明確な答えがなくなってしまいました。「正解のない社会」「正解が出尽くした社会」へと変化したのです。

歯科の世界でも、さまざまなエビデンスが出揃うようになったことで、「今の問題を解決する」だけではなく「今後の問題を発見する」力が必要になっています。つまり、マイナスからゼロだけではなく、ゼロからプラスにする時代に変化したのです。そして、患者さんにとっての「プラス」は人それぞれで、やはり「正解がない」のです。

学校教育と仕事の違い

私は「正解のあった」時代の歯科治療を「学校のテスト」、正解のない今の時代の歯科治療を「大喜利」と例えています。現在の社会では「この通りやってください」と断言できる正解はどこにもありません。

しかし「先生」と呼ばれる人は、「正解を知っている存在」だと思われがちです。これは子どもの頃の「学校の先生」のイメージが強いからですが、現実的には院長も診療以外の正解を知りません。誰も正解を知らないからこそ、目的地に向かうための最善策をみんなで考える必要があります。これが学校教育と仕事との違いです。

最善策を考える場として、ミーティングを推奨

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(画像=polkadot/stock.adobe.com)

なぜ歯科医院のマネジメントにはミーティングが必要なのか?

かつてのように、経営者が「正解のようなもの」を提示し、スタッフが忠実に従ってさえいれば組織が発展する時代ではなくなりました。歯科医院はスタッフの多様な意見を取り入れていかねば、生き残ることはできません。

そこで現場の問題を挙げてくれる「問題提案力」、その問題をどのように解決していくのかという「未来提案力」を合わせる場として、私は『ミーティング』を推奨しています。なぜミーティングが重要なのか。どのようなミーティングを行うべきなのか、私が考えるミーティングについて解説をいたします。

正解がない時代の「提案型ミーティング」

ミーティングには、大きく分けて「スタッフに言うことを聞かせるミーティング」と「スタッフにアイデアをあげてもらう提案型ミーティング」の2つがあります。

私が推奨しているのは、後者の「提案型」です。なぜなら正解を知らない院長が指示したところで、目的地にたどり着くことはできないからです。

また、変化のスピードが速くなっていることも、「提案型」を推奨する理由です。院長がトップダウンで指示するだけでは、次々と生じる問題にとても対応はできません。スタッフ各自がアイデアを出し合うことで、自主性が生まれ、スピード感を持って最善策へと進めるようになります。

提案型ミーティングに求められるのは「柔らかさ」

全ての立場のスタッフからも、アイデアが寄せられる「提案型ミーティング」を実施するためのポイントは「ミーティングの雰囲気及び主催者の柔らかさ」です。

今の若者は「メンタルをできるだけ削りたくない」という、メンタル残高を気にする傾向があるので、伸び伸びと自由な発言を促すには、「怒られない」などの心理的安全性が不可欠です。この心理的安全性を作るのが「柔らかさ」なのです。

例えば、「俺、診療バカだから、他のことはわかんないんだよ」と院長が弱みを見せることが、スタッフが一緒になって考える下地になります。

提案型ミーティングの効果

それでは「提案型ミーティング」には実際どのような効果があるのでしょうか?スタッフが心理的安全性を確保されていると考えると、「実は〇〇の問題があります」「ゴールに向かうには、〇〇が足りていません」など、自由闊達な意見やスタッフから自発的に課題が寄せられるようになります。

提案された課題に対して全員で着手するようになるので、院長はひとりで抱え込んでいた重荷から開放され、いくばくかのストレスが軽減されるでしょう。

またスタッフも自由闊達に意見が言えることにより風通しが良くなり、メンタル残高もむやみに減ることはなくなります。

上記のような好循環が生まれた結果、離職率は下がり働きやすい組織へと変化します。ぜひ取り入れてみてください。

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<角 祥太郎先生の書籍紹介>

院長の不安解消、スタッフのモチベーション向上
「最強の歯科ミーティングバイブル」
角 祥太郎 著
(デンタルダイヤモンド社)

角流!(KADO STYLE!)ここにあり。
歯科医院のチーム力を高めるステップアップワーク集。
8医院の実践事例を紹介。

「なぜ」をまず考えることが最も大切だ。
「なぜ」がわかっていないと何をしても迷い、損をする。
まずは「なぜ」を考えよう。

「なぜ」を理解したら、
「何をどのようにするか」を最適化して決めれば、
ミーティングはゲームになる。

8つのパートナー歯科医院から届いた現場の率直な感想。
そのとき何が起こったのか。

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