(株)ビジブルのCEOの山上真司です。
私は住宅・保険の営業経験を活かし、現在は資産管理や保険のコンサルタントとして活動しております。
年間150件の新規相談、70回ほど開催しているセミナーでは、金融業界の裏話や営業マンの本音などをお伝えしてきました。
これまで中立的な立場からお客様の問題を解決してきた中で、多くの歯科医師の先生方のご相談もお受けしてきましたが、他の相談と比べても特に「もったいない」と感じることが多くありました。
そこで今回は「歯科医院長が保険で最も持つべき保障」についてお伝えします。
歯科院長が最も持つべき保障とは
万が一のトラブルのための保険
私は日々、多くの先生方から保険や資産形成についてご相談をいただきます。
今回は、「高額な生命保険料を支払っているのに、一番持つべき保障を持っていなかった」という事例についてお話をさせていただきます。
例えば新しくスマホを購入した際、携帯ショップで「万が一の故障」の保障を勧められ毎月1,000円の保険に加入したとします。
ある日、落としてもいないのに自然に故障したので携帯ショップに持っていったところ「今回は免責になります。
保険金はお支払いできません。」と言われてしまったら、あなたはどう思いますか?
「嘘でしょ?こういうときのための保険じゃないの?」と思うのではないでしょうか。
実は歯科業界の保険選びでも、かなり近いことが起こっています。それは一体どういうことなのでしょう。
歯科医師にとって最も持つべき保障とは何でしょうか。詳しく解説していきます。
もし歯科医師として働けなくなった時、あなたは?
歯科医師にとって一番重要な保険の保障とは何か。
それはずばり「働けなくなったときの保障」です。
これは昨年ご相談いただいた勤務医の先生の例です。
その先生は年間約200万円もの保険料を支払っていました。ご自身は「働けなくなったときの保障」をしっかりとカバーしている認識でしたが、実際には「死亡保障のみ」でした。
厳密に言うと「死亡保障+高度障害」の保障なのですが、「高度障害=働けなくなった時全般をカバーしている」と誤解して加入しているケースが多くあります。
実際に高度障害とは、両腕が不自由になった、両足が不自由になった、両目が失明した、中枢神経が麻痺し寝たきりになってしまった、など、実際にはかなり重篤な症状でなければ、保険金は出ない場合があります。
私は先生に「例えば、先生の利き腕の指一本が自由に動かなくなったら、あるいは視力が著しく低下してしまったら、歯科医師として最前線で働き続けていけそうですか?」と質問してみました。
すると先生は、「万一そうなったら歯科医師としての死ですね…」とおっしゃいました。
この質問を受けたことで初めて、経済的リスクがあるにも関わらず、適切な保障を持っていないことに気づかれたのです。
利き手をケガしただけで、仕事に支障をきたすのが歯科医師なのです。
そう考えると、「高度障害保障=働けない状態のカバー」と思っている方は少なくありませんが、正しいリスクヘッジとは言えないかもしれません。
歯科医師としてのリスクの把握とヘッジが大切
保障内容を検討するうえで大切なのは、「正しくリスクを把握し、正しくリスクヘッジすること」です。
非常にシンプルなことですが、できている先生は少ないのが現実です。
例えば、各保険会社によっても保険金が支払われる条件が異なります。
「障害程度等級が〇〇級になったら」「要介護〇〇になったら」などの条件を満たさないと、お金が受け取れない保険商品も珍しくはありません。そのため意外と保障範囲が狭い保険会社もあります。
逆に、医師に診断書さえ書いてもらえればお金が受け取れる保険会社や、休業していれば1日目から保険金を受け取れる保険会社もあります。
しかしどこの保険会社にも用意されているようなポピュラーな商品ではないので、それをすすめてくれる営業マンを探さなければなりません。
これに加えて、「本当に高額な保険が必要なのか」は個々の先生の要望によって変わります。
例えば入院保険の必要性を1つとっても、「日本には高額療養費制度があるからキャッシュがあれば入院保険は不要」という先生もいれば、「入院するときには1人部屋がいい」「1泊当たり高額な個室代がかかるので保険で備えておきたい」とおっしゃる先生もいます。
どのような備え方を選ぶかは、先生方ひとりひとりのお考え次第です。
このように1つずつ精査をしていかなければ、ムダな保険や考えに合っていない保険に加入している場合があります。
働けない保障は必ずしも保険で備える必要はない
このように、普段から自分に必要な保障を把握しておくことは大切ですが、リスクへの備え方は経済的に困らなければ、必ずしも保険で備える必要はありません。
例えば、下記のようなケースです。
- 最前線から退いても、継続収入が入ってくる自立した組織ができている
- 他の事業収入がある
- 資産運用などの配当所得がある
「働けなくなったら、毎月10万円もらいたい」という方なら、手元にあるお金の運用で配当が毎年10万円入るようにしておく方法もあります。
極端な話、手元に1億円があれば、年利5%の配当でも(そこから税金で約20%引かれても)年間400万円が働かずして手に入ります。
このように保険以外の金融商品や金融商品以外の解決策は多々ありますので、自分で選ぶのが難しいという方は、ぜひ中立的なファイナンシャルプランナーに相談するのをおすすめします。
歯科医師として検討しておくべきリスク
くり返しになりますが、保険を選ぶ際には「正しくリスクを把握し、正しくリスクヘッジすること」が大切です。
では、歯科医師にはどのようなリスクがあるのか。
一例ですが、下記のようなリスクについて、検討しておきましょう。
キャリアプランごとに検討すべきリスク
<勤務医が検討すべき主なリスク>
- 短期的に働けなくなるリスク
- ⾧期的に働けなくなるリスク
<開業医が検討すべき主なリスク>
- 短期的に働けなくなるリスク
- ⾧期的に働けなくなるリスク
- 借入金のリスク
- クリニックの災害リスク
- 医療機器の故障リスク
- スタッフからの訴訟リスク
- 患者情報の漏洩リスク
- 継承、相続のリスク
上記のほか、スタッフとの関係性、クリニックの管理体制、歯科医師国保か社会保険か、などによって検討すべきリスクは異なります。
最適な解決策にたどり着くには
多くの営業マンの目的は自社商品を売ること
前述したように、働けなくなったときの保障を「持っている認識だったが、持っていない」歯科医院長が多いのはなぜでしょうか。
それは、営業マンとの金融リテラシーの差で、営業マンの言いなりになってしまったことに原因があります。
前回の記事でお伝えしたように、日本の金融業界のゴールは「自社商品を売ること」であり、本当に顧客の利益を考える営業マンはそう多くはありません。
顧客本位ではない営業マンに、自社商品を契約させられてしまったのです。
顧客本位の営業マンに出会うために
実は、顧客本位の営業マンかどうかを見極めるのに有効な質問があります。
「なぜ、あなたはこの仕事をしているのですか?」
この質問をすると、営業マンの原体験などを聞くことができます。
仕事に対して想いがない営業マンほど「え?なんでそんなことを聞くのですか?」と狼狽えます。
一方、信念がある営業マンであれば「よくぞ聞いてくれました!」と熱い想いを語ってくれます。
この質問は保険に限らず、マイホーム購入時などにも有効です。
顧客本位の営業マンに出会うことができれば、リスクヘッジの選択肢も増え、自分に適した商品をチョイスできる確率が高くなります。
また、その営業マンの想いが「あなたの価値観と合うか」は非常に重要です。
いかに知識があって素晴らしいコンサルティング能力を持っていたとしても、そもそも合わなければ、絶対に関係性は長く続きません。
あくまで一例ですが、がん保険は生命保険会社だけでなく、損害保険の企業でも扱っているってご存知ですか?
生命保険会社の一般的ながん保険は「がんになったら〇〇万円」という内容ですが、損害保険会社のがん保険は「入院中にかかった治療費が全額受け取れる」という内容です。
どちらが良い悪いではなく、多く選択肢の中から、最適な解決策をアテンドしてくれているのかが重要です。
顧客のために日々知識を研鑽していれば、このような選択肢の情報提供はあってしかるべきだと思っています。
自社商品以外の商品知識や、その他金融知識が豊富かどうかでも、その営業マンの仕事へのスタンスが表れると思います。
まとめ
今回は歯科医師が持つべき保障内容と、リスクヘッジについて解説しました。
次回は「保険で資産形成をしてはいけない」というお話をさせていただきます。
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株式会社visible 代表取締役|歯科てっぺん塾 主宰
1986年生まれ。中央大学商学部を卒業後、大手ハウスメーカー、外資系生命保険会社、乗合保険代理店にて営業に従事。住宅業界・金融業界ともに販売がゴールである「業界の在り方」に疑問を抱く。
顧客にとって目に見える(=visible)わかりやすい業界に変えたいという想いで、2019年株式会社visibleを設立。
「知らずに損する人をゼロに」をコンセプトで業界のウラガワを伝え、クライアントと最適な答えを繋いでいる。直近1年でセミナー参加・個別相談頂いた歯科医師は延べ300名を超える。