多くの企業が人事評価制度を設けており、活用する歯科医院も増えてきました。
しかし、自院で人事評価を行おうと考えていながらも、どのように進めたらよいか分からず、悩んでいる歯科医院の院長先生も多いのではないでしょうか。
この記事では、歯科衛生士の人事評価を行うメリットを解説し、設定すべき評価項目と注意点についても紹介します。
歯科医院の経営や人材確保を実現する際の参考にしてください。
歯科医院経営で歯科衛生士の評価が重要な理由
歯科医院を経営するうえで人事評価は重要な取り組みの1つです。
しかしながら人事評価の重要性を理解している歯科医院は少ないように思います。
人事評価制度を設けることでどのような効果があるのでしょうか。
歯科医院で歯科衛生士の評価が重要である理由を解説しましょう。
歯科衛生士の評価が重要な理由1.優秀な人材の確保
1つ目の理由として、優秀な歯科衛生士を確保できるというメリットがあります。
歯科衛生士を適正に評価する評価制度があれば、成長意欲が高く、キャリアアップを目指している歯科衛生士が集まりやすくなります。
また、仕事へのモチベーションが向上することによって、退職を防ぐことにもつながります。
採用時にも「頑張りや能力が正しく評価される」となれば応募者へのアピールになるでしょう。
特に人手が不足し「20の医院が1人の新卒歯科衛生士を争奪する」状況だからこそ、人事評価制度の重要度は高いと考えられます。
また、人材確保のためには単なる「人事評価制度」だけではなく歯科衛生士に対するスキルアップのサポートも効果的です。
また歯科衛生士がスキルアップすることにより、院長先生が指示を出すシーンが減るというメリットもあります。
これにより院長先生の時間の確保ができるだけでなく、患者のニーズを汲み取った適切なケアも可能になり歯科医院の医療サービス向上や収入の増加にもつながるでしょう。
歯科衛生士の評価が重要な理由2.モチベーションの維持
スタッフのモチベーションを維持することは、歯科医院の経営にも大きく影響します。
自分の努力や能力が認められることで歯科衛生士のモチベーションが高まり、さらに意欲的に仕事へ取り組む原動力となるでしょう。
モチベーションが低いと、仕事も単調な繰り返し作業に感じられ、ミスや職場への不満、離職に発展する可能性が高まります。
だからこそ「自分は認められている」「職場に貢献し、自分も成長している」という実感が持てる人事評価制度の設定が必要なのです。
歯科衛生士の評価が重要な理由3.技術・サービスの向上
3つ目の理由として、しっかりとした人事評価制度を取り入れることにより、サービスの向上が期待できます。人事評価は賃金や昇格に反映されるだけでなく、「医院から求められること」「自分が努力すべき点」を明確にできる仕組みです。
歯科衛生士が自身の進むべき方向性を理解し、その成長や努力が適宜評価されることで、知識・スキルの向上が期待できます。
そして、治療関連の技術や接遇の質がアップすることは、歯科医院のサービスの質向上、さらには患者の満足度アップにつながるでしょう。
歯科衛生士評価で注目すべき3つの評価項目
歯科衛生士の人事評価が歯科医院経営の成功にもつながる重要な取り組みであることをお伝えしてきました。
それでは実際にどのように評価を行えばよいのでしょうか。
ここでは、歯科衛生士を評価する際に注目すべき3つの項目について説明します。
歯科衛生士の評価項目1.情意
情意とは本人のやる気、意識、姿勢などのメンタル面を指し、人事評価においては以下の4つの要素に着目します。
- 規律性:組織のルールを守ろうとする意識と行動
- 責任性:役割をこなそうとする意識と態度
- 協調性:仲間と協力する態度や相互理解への姿勢
- 積極性:自分から行動を起こす姿勢やチャレンジ精神
具体的には清潔感、他スタッフとの協力、感情の安定、コミュニケーションの円滑さ、成長、挨拶・礼儀などの項目で評価していきましょう。
歯科衛生士の評価項目2.能力
人事評価における能力とは職務遂行能力を指し、給与等級格付けの基礎資料にもなる重要な観点です。
職務を遂行するうえで必要な知識やスキルを、主に以下のような項目で評価します。
- 知識・技能
- コミュニケーション能力
- 判断力・理解力
- 業務遂行能力
- 管理能力・指導力
- 折衝力
歯科医院の場合、「治療技術や予防方法を自ら説明できるか」「治療手順を正確に理解しているか」といった基準で評価が行われ、不足しているスキルを次の目標として設定できます。
歯科衛生士の評価項目3.業績
人事評価の業績とは医院への貢献度を指し、担当患者数、リコール率、自費診療点数などによって評価します。
個人別の業績管理は難しくもありますが、歯科衛生士が「患者からの直接的な感謝」を受け、「医院への収益貢献」ができるような仕組み作りは重要でしょう。
業績の評価では数値目標を設定し、達成度合いを管理する方法が一般的です。
ただ、歯科衛生士や歯科助手、受付など職種ごとに数値目標が異なるため、不公平さを生まないためにも勤務態度やスタッフ間のバランスなども考慮しつつ評価する必要があります。
歯科衛生士の人事評価制度を構築・運用する際の注意点
人事評価では、透明性、公平性、納得性が重要なポイントです。
主観で評価していては、スタッフとの信頼関係が崩れかねません。
歯科衛生士の人事評価基準をあらかじめ公表し、思いつきや好みでなく客観的かつ丁寧に評価することが必須であり、評価理由を説明できるようにしておくとよいでしょう。
また、評価するだけでなく、スキルを伸ばし能力を発揮できるように導くことも意識したい点です。
まとめ
歯科衛生士をはじめとしたスタッフの人事評価は、従業員を評価すること自体が主目的ではなく、個々のスキルを伸ばし能力を生かすことによってやりがいを感じさせ、また歯科医院経営にもプラスの効果をもたらすことにあるのではないでしょうか。
人事評価制度をうまく活用して、歯科医院経営を成功させてください。
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歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。
2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,100以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。