歯科医院の院長とスタッフの成長を促す教育体制づくり

歯科医院経営において、成功のひとつの目安となるのが「年商1億円」です。

それは、利益だけではなくメンタル面も含めて、順調な経営を行っている開業医は「年商1億円」を達成しているというデータからも導き出されているからです。

そこで「年商1億円医院の設計図」などの著者であり、歯科医院専門税理士でもある税理士法人キャスダックの山下剛史さんに歯科医院を年商1億円へと導く最短ルートについてお話を伺いました。

連載2回目となる今回は前回に引き続き、歯科医院にとってなぜ「年商1億円」がよいのか? その理由を解説します。

年商1億円で歯科院長の「幸せのコスパ」が最大になる

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(画像=pixta)

なぜ成功の基準が1億円という数字なのでしょうか?

私は決して年商1億円が成功だとは思っていません。

しかし、お金はないよりあった方がよいのは間違いないですし、じゃあいくらを目指すのが一番効率的なのか、というところを突き詰めていくと、年商1億円ぐらいじゃないかな、と思うのです。

たとえば、ノーベル賞を受賞した米国の心理学者の研究によると、感情的な「幸福度」は年収75,000ドル(約800万円)までは収入に比例して増えますが、その額を超えるとほとんど上昇しなくなるといいます。

また、大阪大学が行った研究では、世帯年収が1,500万円を超えると幸福度はほとんど上がらなくなるという結果も出ています。

ワインでたとえると、1,000円と5,000円のワインは明らかに味の違いがありますが、5,000円を超えるとほとんど違いが分からないといった感じでしょうか。

一般的なビジネスパーソンにとって幸せのコスパが最も高いのは世帯年収1,500万円前後といわれているため、ビジネスパーソンより高い生活レベルを望む歯科院長の場合、世帯年収2,000万円前後が「幸せのコスパ」がマックスになると考えます。

ではその場合の売上はいくらなのかというと、データベースから「1億円」という数字が出てくるわけです。

ここで夢のある話をひとつ。年商1億円の歯科医師の年収はプロ野球選手より高いという事実です。

プロ野球選手の年収の中央値は約1,500万円といわれています。年商1億円の歯科医師の年収は約2,000万円で、プロ野球選手よりも多いのです。

さらにプロ野球選手の平均在籍年数8~9年に対して、歯科医師は40年続けることも可能な職業かと思います。

プロ野球選手より年収が高く、働ける期間も圧倒的に長いのです。人生100年時代を迎える日本において、これほど素晴らしい仕事はそうありません。

人生100年時代、歯科医師に必要とされる要素は?

好きでもない仕事を100歳まで続けるのは難しいので、「歯科医師の仕事が好きかどうか」が一番ではないでしょうか。

私のクライアントの先生方は歯科医師の仕事を楽しんでいる方が多いですね。

反対に経営がうまくいっていないのに、仕事を楽しめるかというと疑問です。

利益を確保し、豊かな生活ができる環境がないと楽しい仕事はできないと思います。

一方で、歯科医師の仕事を早めにリタイアしたいという先生もいらっしゃいます。

歯科院長は開業以来、いろいろな犠牲を払ってきています。それを残りの人生で取り戻したいという方や、新しいことに挑戦したいという方もいらっしゃるでしょう。

医院規模を縮小したり、早めにリタイアすることも、年商1億円医院だと実現可能性がぐっと高まります。

年商1億円達成後は、現状維持でよいのでしょうか?

年商1億円に到達すれば、無理して売り上げを増やす必要はありません。

理由は最初に述べたように、年商1億円が最も幸せのコスパが最も高いからですが、もう1つ理由があります。

それは年商1億円を超えると、スタッフマネジメントのストレスが加速度的に増していくからです。

売上増にはスタッフの増員が必要になり、人が増えれば当然マネジメントに費やす時間も増えます。

それに加え、コミュニケーションスキルや歯科医院のビジョンを示すスキルなども必要です。

また、患者さんからのクレームやスタッフ間のトラブルは確率論なので、母数である患者数やスタッフ数が増えれば確実に増加します。

スタッフマネジメントをしたくて歯科医師になった先生は少ないと思います。

これらの「しなければならない」物事や時間が多くなるほど、ストレスは増し幸福度は減少していきます。

年商1億円歯科医院の課題はありますか?

年商1億円の歯科医院には、ある程度のスタッフ数が必要ですので、「採用」は悩みのひとつになるでしょう。

また、歯科医院は女性中心の職場であるため、結婚や出産などのライフイベントが多く、スタッフの流動性が高いといった特徴があります。

求人に関しても、歯科医院のスタッフは、「拘束時間が長い」「立ち仕事が多い」「人間関係が難しい」「福利厚生が充実していない」などのネガティブな印象を持つ方も少なくありません。

また、歯科助手や受付は何とか採用できたとして、問題は勤務医です。

歯科医師の国家試験の難易度が上がり、合格率が下がっているうえ、研修医制度などにより規模の大きな歯科医院が先に確保してしまう傾向があります。

さらに、たとえ運よく勤務医を採用できたとしても、勤務医は院長の患者を引き継ぐケースが多く、どうしても院長と比べられてしまいます。

経験の浅い勤務医が院長ほどの技術やホスピタリティを有しているはずもなく、自信を喪失して退職してしまうことも多いのです。

スタッフマネジメントの問題も増えそうですね。

勤務医の育成では、教える側の院長も当然ストレスを感じます。

「強く指導したら辞めてしまわないだろうか?」といった不安を抱えながらのマネジメントでは、院長と勤務医のパワーバランスが逆転することもめずらしくはありません。

するとスタッフからも「強く言えない院長」というレッテルを貼られ、医院全体の人間関係も崩れてしまう可能性が高まります。

このようなリスクから、勤務医は絶対に必要なのかというと答えはノーです。 われわれのクライアントには、勤務医が数ヵ月で辞めてしまうため、その労力を考慮して採用活動を中止した院長もいます。

その結果、育成のストレスから解放され、5人の歯科衛生士と院長の6人体制で年商1億円をキープしています。

時間とお金をかけて勤務医を採用するよりも、現環境の向上に集中したほうが費用・時間対効果が高まることも多いのです。

年商1億円とそれ以上をめざす場合の違いを教えてください。

年商1億円以上を目指す際、大前提となるのは箱の大きさです。

例えば年商10億円を目指すには、チェア1台あたり2,500~3,000万の売り上げを見立てたとして、40台のチェアが必要です。

4つ分院を作ったとしても、1院あたり10台が必要です。

さらに、医院規模を大きくすると事業継承も複雑化して困難になります。

子どもに継がせる場合も、第三者への事業継承の場合も同様です。

年商10億円と年商1億円ではかけるべき労力に大きな差があるのです。

また、前回ふれましたが1億円以上を目指すとなるとセンスが必要になってきます。コミュニケーションスキルや人を動かす力です。

そして一番必要なのが、お金を使うことに対してある意味、「恐怖心がない」ことです。

たとえるなら「借りたお金は自分のもの」くらいの感覚で積極的にお金を使われるので、お金を守る立場としてはハラハラすることも多いです。

しかし、概してそういった先生が医院規模を拡大されているように思います。

これらの理由から年商1億円以上を目指すのは、圧倒的なバイタリティを持って突き進める方以外にはあまりおすすめできません。

多くのドクターは、やるべきことやっていけば十分に達成可能な、年商1億円をめざした方が幸せのコスパは高いかと思うのです。

次回は年商1億円を達成するために、何をすればよいのかを具体的に解説します。

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