歯科衛生士の時給_相場と求人のポイント_あきばれ歯科経営 online編集部記事

診療補助やスケーリングに携わる歯科衛生士は、歯科医院にとって欠かせない存在です。

しかし、優秀な歯科衛生士を確保するにあたって、給与をどう設定すべきか迷われている先生も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、歯科衛生士の時給相場を踏まえつつ、求人における時給の決め方や時給以外で歯科衛生士が重視するポイントなどを解説します。

歯科衛生士の時給相場はどれくらい?

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(画像=pixta)

歯科衛生士の時給は現状どれくらいなのか、さまざまな観点から解説します。

歯科衛生士の時給相場

「歯科衛生士の勤務実態調査(令和2年3月)」の結果から推定した場合、歯科衛生士の諸手当を除いた時給相場は約1,380円になります。なお、2021年における最低賃金の全国平均は930円です。

一方、10年前の平成22年(2010年)における同調査を見ると、時給相場は約1,250円と推定されます。

この年の最低賃金の全国平均は730円、物価上昇率を踏まえた時給相場は約1,310円です。

このように10年前と比べると賃金水準は上昇しているので、以前と同じ時給で募集していたら、なかなか人は集まらないでしょう。

常勤の月給を時給換算するといくら?

「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、歯科衛生士の時間当たりの平均給与は約1,600円となっています。

これは一般労働者(常勤)の賞与を除いた給与を時給換算しても、短時間労働者(非常勤・パート)における1日当たりの給与でも、ほぼ同じ水準です。

ただし、この調査では諸手当(通勤手当・資格手当・職務手当など)を含んだ金額が算出されています。

職場や経験によっても変動しますが、歯科衛生士は常勤でも非常勤でも時給相場は大して変わりません。

そのため、求人において常勤・非常勤の時給に差があると、非常勤で働きたいと考えている方から避けられる可能性もあります。

さらに、2020年4月から施行された『短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律』には「同一労働・同一賃金」の規定が盛り込まれ、常勤・非常勤間で不合理な待遇差を設けることが禁止されました。

歯科衛生士の大半は女性であり、パート勤務を希望される方も多いため、あらかじめ注意が必要です。

【関連記事】
・歯科医院でやるべき「同一労働・同一賃金」対応で重要な“3つのポイント”

都道府県別の時給相場

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(画像=pixta)

給与は地域によっても変動しますが、基本的に主要都市から離れるほど低くなる傾向にあります。

これは歯科衛生士を含め、ほとんどの職業に当てはまることです。

そこで「令和3年賃金構造基本統計調査」の結果をもとに、歯科衛生士における都道府県別の時給相場をまとめました。

諸手当を控除し、常勤と非常勤の時給相場を同等として推計しています。

  • 北海道:1,080円(889円)
  • 東京都:1,540円(1,041円)
  • 大阪府:1,340円(992円)
  • 福岡県:1,320円(870円)
    ※()内は最低賃金

上記のように東京都の時給相場が最も高く、大阪府や福岡県といった各地方の主要都市が続く結果となっています。

時給を決める際は、地域差も考慮しましょう。

歯科医院の規模による時給の格差

「第23回医療経済実態調査報告(令和3年)」の従事者の平均年収から時給を推計した場合の歯科衛生士の時給(諸手当除く)は以下の通りです。

  • 全体:約1,400円
  • 個人医院:約1,320円
  • 医療法人:約1,600円

このように個人医院より医療法人のほうが高いので、歯科医院の規模によって時給の格差が生じている可能性も想定されます。

また、給与金額の伸び率も医療法人のほうが大きいため、今後もさらに格差は広がるかもしれません。

小規模の歯科医院で、経営的に給与を引き上げるのが難しい場合は、働きやすさや職場の人間関係の良好さなど他の強みをアピールする必要があります。

歯科衛生士の求人では時給をどうやって決めるべきか?

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(画像=ponta1414/stock.adobe.com)

歯科衛生士の時給を決めるにあたって、2つの重要ポイントを押さえておきましょう。

時給相場は最低ライン

実際に求人サイトを見てみると、歯科衛生士の時給は東京都なら下限が1,400~1,500円程度となっています。

つまり、前述した約1,380円という時給相場は、転職市場において歯科医院が満たすべき最低ラインであり、これを下回るようだと人材確保は困難と言えるのです。

特に東京都のような主要都市では、時給2,500~3,000円と高く設定している歯科医院も珍しくありません。

給与を重視している歯科衛生士にとって、この時給はかなり魅力的に映るでしょう。

また「歯科衛生士の勤務実態調査報告書(令和2年3月)」によると、現在の年収に満足している方の割合は全体の4割程度です。

実際、歯科衛生士の転職理由として「給与」や「待遇面」は上位に挙がっています。

新卒の有効求人倍率が約20倍という超売り手市場において、歯科衛生士がより良い条件を求めることは必然です。

相場より高い時給を提示しなければ、そもそも応募すら来ない可能性もあります。

どんな人を採用したいかによって提示すべき金額は変わる

重要ポイントとしてもう一つ考えるべきことは、求人の対象となる人物像です。

一般的に歯科衛生士は、実務経験が豊富なほど時給相場(条件面での要求水準)も上がります。

新卒の時給相場は1,300円ですが、経験年数5~9年目だと推定1,600円以上になります。

一方、歯科衛生士は圧倒的に女性が多いため、20代後半~30代にかけて結婚や出産などで一時職を離れ、その後はワークライフバランスを重視しながらパートで勤務を続けるパターンも少なくありません。」

この場合は、時給よりも長く安心して働きやすい環境かどうかが重視される傾向にあります。

さらに、矯正治療やインプラント、審美といった自費治療など、現在ニーズの高い専門分野の経験者であれば、時給相場は平均より高くなります。

自院の治療メニューも踏まえつつ、必要な時給を割り出しましょう。

時給以外で歯科衛生士が重視するポイント

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(画像=naka/stock.adobe.com)

歯科衛生士は求人をチェックするとき、以下のようなポイントにも着目しています。

長く安心して働けるか

歯科衛生士はほとんどが女性ということもあり、ライフステージの変化があっても働き続けられる環境を求めています。

勤務スタイルに柔軟性を持たせることはもちろん、福利厚生の充実を図ることも大切です。

特に出産や子育てに対するフォローが不足している場合、それだけで応募の候補から外される可能性もあります。

また、小さい歯科医院だと未整備のケースも多いのですが、最近は社保完備でないと選ばれづらい点にも注意が必要です。

人間関係は良好か

給与や待遇面以上に離職要因となりやすいものが、職場での人間関係です。

実際、院長からパワハラ・セクハラを受けたり、同僚とうまくコミュケーションをとれなかったりして、離職を余儀なくされたという歯科衛生士は少なくありません。

そのため、院長は安心してコミュニケーションがとれる相手か、スタッフ同士の仲は良いかといった点もチェックされる可能性が高いのです。

ホームページやSNSで自院の様子を伝える、職場見学に案内するなどして、楽しく安心して仕事ができる環境だとアピールしましょう。

研修制度が充実しているか

歯科衛生士が転職を検討する際は、それぞれ抱えている事情が異なります。

  • 新卒で入った歯科医院が合わずすぐに辞めてしまった
  • いろいろな歯科医院で経験を積みたい(掛け持ち)
  • 家庭の仕事が一段落したので復職したい(ブランクがある)
  • より高度なスキルを身につけてキャリアアップしたい

このように考えている方でも安心して入職できるよう、研修制度・教育体制を充実させることが必要不可欠です。

教育に注力していること、資格取得をサポートしていることなどをアピールしましょう。

求人を検討する前に今の時給や職場環境が適切か見直しを

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(画像=taka/stock.adobe.com)

現状の労働条件に不満を抱いて転職するケースは、自院で働いているスタッフにも当てはまることです。

今頑張ってくれている既存のスタッフの給与水準は他院に比べて見劣りしないか、長く安心して働ける環境かなど、きちんと見直すことも重要となります。

特に歯科衛生士は超売り手市場なので、1人でも辞めてしまった場合、補充要員を迎え入れることは容易ではありません。

求人を出すときは、まず自院の現状が転職市場の状況に即しているか確認しましょう。

まとめ

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(画像=pixta)

歯科衛生士の求人を出す場合、採用したい人物像や自院の所在地など踏まえつつ、時給相場を把握することが大切です。

時給相場を最低ラインとしたうえで、できるだけ高い時給を提示しなければ、人材確保はスムーズに進まないでしょう。

また、歯科衛生士は給与だけではなく、職場環境や福利厚生も重視しています。

既存のスタッフにも目を配りながら、働きやすい環境を作りましょう。

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あきばれ歯科経営 online編集部

歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。

2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,100以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。