コロナ禍で多くの業界が打撃を受けている中、経営が厳しいと感じている歯科医院(歯科診療所)も少なくありません。
実際のところ他の歯科医院はどのような状況なのか、今の状況を切り抜けるにはどうしたら良いのかお悩みの院長も多いのではないでしょうか。
この記事では、コロナ禍になる前後における歯科医院の倒産件数や、代表的な倒産の要因・対策を解説しています。
歯科医院の年間の倒産件数はどれくらい?
2022年1月に発表された『特別企画:医療機関の倒産動向調査(2021 年) 』によると、歯科医院の年間倒産件数は、新型コロナウイルス感染症が流行する前ではおおむね10件〜20件前後で推移していました。
2019年からの過去5年の具体的な件数は、以下の通りです。
・2015年 9件
・2016年 12件
・2017年 10件
・2018年 23件
・2019年 15件
コロナ禍での医療機関の倒産状況
新型コロナウイルス感染症が流行し始めてからの、歯科医院の倒産状況を見ていきます。
コロナ禍で苦境に立たされている業界・会社は多々ありますが、歯科医院も例外ではなく、実際に経営についてお悩みの院長も多いでしょう。
コロナ禍で歯科業界がどのような状況に置かれているのか、解説していきます。
2021年の歯科医院の倒産件数は10件
『特別企画:医療機関の倒産動向調査(2021 年) 』によると、新型コロナウイルス感染症が日本で流行し始めた2020年以降の歯科医院の倒産件数(法的整理、負債 1000 万円以上)は、次の通りです。
・2020年 11件
・2021年 10件
医療機関全体で見れば、2021年の倒産件数は33件で、前年よりも6件増えています。
しかし、歯科医院のみの件数を見ると、コロナ禍前と大きな変化はありません。
ただし、東京歯科保険医協会が実施したアンケートでは次のような結果が出ており、コロナ禍をきっかけに経営が悪化している歯科医院が多いことがうかがえます。
■2019年4月と2020年4月
・減った:61%
・変わらない:20%
・増えた:19%
■2020年4月と2021年4月の医業総収入の比較
・減った:34%
・変わらない:23%
・増えた:43%
新型コロナウイルス関連倒産は増加傾向
コロナ禍における倒産件数は、歯科医院でも医療機関全体でも、過去5年間で突出して多いわけではありません。
コロナ対策の緊急融資や補助金が倒産の抑制につながっていると考えられますが、2021年に医療機関の倒産、とりわけ新型コロナウイルス関連倒産が増えていることから、抑制効果は弱まっている印象です。
医療機関全体における「新型コロナウイルス関連倒産(法的整理のみ)」の件数
- 2020年:4件
- 2021年:15件
なお、上記は民事再生や破産といった、法的整理の件数です。
廃業、休院、開院時間の短縮なども含めると、コロナ禍における病院経営の厳しさがより鮮明になるでしょう。
実際、『特別企画:医療機関の倒産動向調査(2021 年) 』『特別企画:医療機関の倒産動向調査(2021 年) 』では、歯科医院の休業件数について以下の統計が示されています。
- コロナ禍前:
2018年76件、2019年75件 - コロナ禍:
2020年83件、2021年84件
歯科医院が経営難に陥る代表的な要因
新型コロナウイルス感染症の流行もあり、歯科医院の経営が厳しい状況は今後も続いていくと考えられます。
こうした状況の中で経営を続けていくためには、経営難のサインをいち早く察知し、早い段階で対策を打つことが重要です。
歯科医院が経営難に陥る代表的な要因を見ていきましょう。
集客ができていない
集客ができていなければ、収益が安定せず経営は厳しくなってしまいます。
歯科医院は競合が多い状態なので、集客を通して自院の認知度を上げ、強みを伝えなければ、患者は他の歯科医院に流れてしまうのです。
新型コロナウイルス感染症の流行で受診控えが生じていることからも、患者に来院を促す工夫は欠かせません。
すでに集客をしている場合でも、以下の理由から、従来通りの施策では効果が薄くなっている可能性があります。
患者が通院先を探す手段が多様化している 歯科医院へのニーズも多様化している
患者のニーズを踏まえつつ、適切な施策を打つことが重要です。
【関連記事】歯科医院の集客でやるべき8つの施策(オンライン・オフライン)
売上に対して支出が過大になっている
どんなに売上があっても、支出が収益に見合ったものでなければ赤字になり経営難に陥ってしまいます。
しかし一方で、支出をおさえるために設備投資や人件費を切り詰めすぎると、歯科医院としての質が下がり、患者の減少と売上の低下につながりかねません。
安定的に歯科医院を経営していくには、キャッシュフローを把握し、収益と支出のバランスをとることが重要なのです。
キャッシュフローの改善方法には、以下のものがあります。
- 入出金サイクルを整える
- 在庫・遊休資産を見直す
- 資金計画を作成する
無理のない経営のためにも、キャッシュフロー経営を意識していきましょう。
【関連記事】歯科医院経営にも必須 キャッシュフロー経営とは
まとめ
2020年、2021年の統計を見る限り、歯科医院の倒産件数はコロナ禍に入る前とそれほど変わりません。
しかし、「医療機関全体におけるコロナ関連倒産の件数」や「歯科医院の休業件数」などを見てみると、コロナ禍で病院経営は厳しくなっていると言えるでしょう。
今後も安定的に歯科医院を経営していくためには、工夫が必要です。
集客やキャッシュフローの見直しをして、売上を上げつつ堅実に経営していくことが重要です。
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歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。
2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,300以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。