本記事ではまず歯科医院の予約システムの機能・料金について解説します。次に予約システムを導入するメリットを説明した後、「どのような予約システムを選べばよいのか?」という疑問に対して、サービスを比較する方法や、具体的な歯科予約システムを8つ紹介します。
自院に予約システムの導入を検討している歯科医院の院長は参考にしていただければと思います。
歯科医院の予約システムの機能や料金
歯科予約システムとは、歯科医院の予約受付に対応しているシステムです。 一般的には、自院ホームページや院内システムといった既存のシステムと連携して既存の端末から利用でき、スタッフだけでなく患者も使用します。
歯科医院にとっては、受付情報や患者に関する情報を一元管理できるという点がメリットです。以下で予約システムの機能・料金を紹介します。
機能
歯科予約システムの主な機能は予約管理です。「いつ、誰が、どのような内容で来院するか」をデータベースに保管しておき、PCやタブレットなどでまとめて把握・変更できるという特徴があります。
患者はオンラインで来院予約・日時変更・キャンセルが可能です。予約受付だけでなく問診機能が搭載されているものもあります。
その他、患者情報管理、リコール管理、中断管理やレセコン・電子カルテとの連動機能を備える予約システムもあるなどさまざまです。
また、患者とLINEで連絡が取れる機能を搭載しているサービスもあります。日常的にLINEを使用している方も多いので、LINE対応の予約システムは利便性が高いといえるでしょう。
料金
歯科予約システムの利用料金は月額5,000円程度のサービスから、3万円ほどのものまでさまざまです。3ヶ月無料などのお試し期間が設定されている歯科予約システムもあります。
予約管理といった基本機能のみか、あるいはオプションでSMSなどのメッセージ機能や経営管理機能まで搭載するかどうかでプランは異なります。
一般的に基本機能のみの場合は料金が安く、高度なオプションが加わるほど料金は高くなります。
導入費用(初期費用)は無料から10万円台までさまざまです。レセコン連携など大掛かりなシステム開発が必要となるものについては100万円程度かかるものもあります。
歯科医院が予約システムを導入するメリット
歯科医院が予約システムを導入する具体的なメリットは主に以下の2つです。どちらも歯科医院の経営に直結するメリットです。それぞれ解説します。
- 集患・リピート
- 業務の効率化
- データ分析ができる
集患・リピートにつながる
患者は歯科医院に電話をかけなくても予約状況を確認しやすいので利便性が向上します。待ち時間がないという安心から、忙しい患者の来院を促す効果も期待できるでしょう。
また、予約受付がシステム化されていれば、スマートフォンやPCから手軽に予約できるので、予約という行為自体のハードルを下げることができます。 予約メール通知が自動的に届くことによって、「心理的に無断キャンセルしにくくなる」という効果もあるようです。
休診日や夜間のような電話対応できない時間帯でも歯科予約システムは対応しているので、機会損失を減らせるというメリットもあります。
業務効率化につながる
従来は院長やスタッフが行っていた予約対応を自動化することで負担が軽減されます。
歯科予約システムを導入した結果、1名のスタッフで受付を回している歯科医院もありますし、「歯科予約システムがあるから運営が成り立っている」という感想を持つ歯科医師もいます。
昨今、働き方改革による業務効率化が求められているなか、歯科予約システムを組み込むことでスタッフの仕事が効率化し、その結果スタッフの満足度がアップする可能性もあるでしょう。満足度がアップすれば、スタッフの職場定着率がアップする効果も期待できます。
データ分析ができる
予約システムを使うことで、患者さんからのネット予約の受付が可能となります。
事前にネット予約を受け付ければ、患者さんの住所や生年月日といった個人情報はもちろん、治療内容や通院回数、過去の履歴など様々な情報とも紐づけてデータ分析をして、患者さんの情報・状況を管理できます。
こうしたデータ分析により、来院患者さんの年齢層・治療内容・診療圏の確認もでき、その後の予約管理や経営数値の予測を立てることができるようになります。
さらに、様々な活動の結果を数値で把握できることから、医院のスタッフの業務成果もデータ分析に基づいて可視化でき、やりがいにもつなげられます。
そのほか、定期検診の時期が近くなった人にお知らせを送ったり、誕生日前にお祝いやキャンペーン情報を送るなど、様々なマーケティングデータとしても活用可能です。
こういったデータ分析につながる予約システムもありますので、売り上げを改善したいとお考えの院長先生は、このような視点で探しても良いかもしれませんね。
歯科医院の予約システムを選ぶ際の比較ポイント
歯科医院の予約システムを比較するポイントは以下の4つです。それぞれ見ていきましょう。
- 対応している機能
- 使いやすさ
- カスタマイズ性
- 費用対効果
対応している機能
導入する歯科予約システムの機能が自院にとって必要かどうかを考えることが大切です。
歯科予約システムの機能には、受付管理、予約管理、患者管理、リコール管理、中断管理などがありますが、最低限の機能のみ必要とする歯科医院もあれば、高度なオプション機能が必要な歯科医院もあるでしょう。
具体的には、予約リマインダー機能はついているか、ネット予約と電話予約を統合して管理できるか、キャッシュレス決済システムとの連携はできるか、セキュリティー対策はできているか、レセコンと連携できるか、などが挙げられます。
「自院の患者数やスタッフの数なども考慮したうえで、必要な機能をイメージしてみる」、「その機能を備えた歯科予約システムを導入する」という順番で考えてみてください。
使いやすさ
来院される患者にとって「歯科予約システムが使いやすいかどうか?」という視点も大切です。
特に「スマートフォンやPCなどから簡単に予約を取れるかどうか」という観点から歯科予約システムを比較するとよいでしょう。
もちろん院長自身や歯科衛生士・助手、事務スタッフなどが簡単に操作できるという点も重要です。操作が複雑なシステムだと、トラブルが起きた時にどう対処すればよいか分からず、業務が停滞する原因になりかねません。
カスタマイズ性
要望をもとにカスタマイズしてもらえるかどうかも大切なポイントです。自医院の状況に合った設定として、表示パターンや画面の色を変更できる場合もありますので、歯科予約システムの比較ポイントに含めて考えてみてください。
なお、歯科医院に特化しているシステムの場合、チェア上で予約が取れたり、リコール管理ができたりするなど、かゆいところに手が届くサービスもあります。
そのような機能がカスタマイズによって実装できるかどうかも考慮しましょう。
費用対効果
歯科予約システムの利用費用は、月額数千円のものから数万円のものまでさまざまですが、重要なのは「初期費用に見合った集客効果・業務効率の改善効果が見込めるかどうか」です。
そのような費用対効果という観点から、歯科予約システムの初期費用を比較するとよいでしょう。
おすすめ歯科予約システム8選!特徴・機能・料金を比較
実際に提供されている歯科予約システムを8つ紹介します。それぞれ、特徴、機能、サポート、料金、導入による効果も紹介しますので参考にしていただければと思います。
ピスケス・アポ(PISCES APO)
歯科医院生まれの歯科特化予約システムがピスケス・アポです。予約入力、各種リスト作成、スケジュール管理、メール通知、カスタマイズ、レセコン・電子カルテとの連動といった機能があります。
サポートには定期的な訪問作業を行うプランと遠隔サポートのプランがあります。利用にあたっては、初期費用のみで月々の利用料はかかりません。
導入による効果として「新しい患者様を待たせることがなくなった」「予約状況を確認しやすくなった」などの感想が見られました。
デンタマッププラス(denta map plus)
シンプルな操作で利用できるのがデンタマッププラスです。ネット予約、自動メール、チェアサイド予約、リスト管理、解析、レセコン自動連携といった機能があります。
初期設定を含む「加入費用」は10万円となっており、最短5日で導入できる点が魅力です。オプションでサポートも受けられます。
導入による効果として「予約がしっかり管理できるようになった」「電話からの予約件数が増えた」などの感想が見られました。
セレクトタイプ(SELECTTYPE)
簡単・高機能・デザインカスタマイズ可能なのがセレクトタイプです。担当医ごとの出勤スケジュールを設定してカスタマイズできる予約受付カレンダー、診療内容ごとの問診機能、自動生成可患者名簿、空き状況を確認できるスマートフォン用予約ページといった機能があります。
料金は無料で使えるフリープランから、月額1,500円のベーシックプラン、月額10,000円のプレミアムプラン、月額15,000円のプレミアムパッケージなどプランはさまざまです。
デントネット(DentNet)
歯科医院向けの予約管理・経営支援システムを提供しているのがデントネットです。レセコン連携、24時間ウェブ予約、CTI(受電時に患者情報表示)、リライトカード(磁気診察券)といった機能があります。
料金は基本ソフトライセンス料+デントネット用パソコン1台で27,000円(ビジネスクレジットの場合)となっています。
導入による効果として、「予約のミスがなくなった」「患者の利便性がアップした」などの感想が見られました。
アポデント(ApoDent)
歯科予約システムを提供しているアポデントは、公式サイトでアポ帳と予約システムを比較しています。アポイント状況の共有、空き状況の検索、キャンセル待ち管理、日計などの機能があります。
料金は初期費用59,800円、利用料が月額5,000円です。他に各種オプションを付けるかどうかで価格は変わります。
導入による効果として、「リコール率の増加と待ち時間の短縮につながった」「自院スタッフの情報共有がスムーズになった」などの感想が見られました。
デンタルアクセス(DENTAL ACCESS)
トラブルに強いハイブリッドな予約システムを提供しているのがデンタルアクセスです。
多彩な自動連絡機能、幅広い層が利用できる自動予約受付、使いやすい電子アポイント帳、レセコン連動、マルチクライアント、リライト診察券、空き検索、CTI、ダイレクトお知らせといった機能があります。
導入による効果として、「自院のシステムが大きく変わった」「無断キャンセル率が減少した」「欠かせないシステム」などの感想が見られました。
イーパーク(EPARK)
非接触で受付できるのがEPARKの予約管理システムです。予約管理、患者管理、リマインドメール、SMS機能、リコールハガキ、リコールeメール、レセコン連携、アンケート機能、診察券アプリといった機能があります。
料金は無料プランに加え、月額25,300円のベーシックプラン、月額41,800円のリッチプランに分かれています。
導入による効果として、「キャンセルによる損失額が改善した」などの感想が見られました。
アポツール アンド ボックス(Apotool & Box)
歯科専用のクラウド型システムを提供し、未来型の歯科経営を謳っているのがアポツール&ボックスです。カレンダー、予約管理、経営分析、コミュニケーションツール、ウェブ予約といった機能があります。
料金は月額18,000円のAプラン、月額32,000円のIプラン、月額30,000円のSプランがあります。他に初期導入費用が150,000円かかります。
導入による効果として、「予約状況をスムーズに確認できた」「経営判断に必要な情報が手に入った」などの感想が見られました。
・アポツール アンド ボックス(Apotool & Box)
その他のシステム
他にも以下のような歯科予約システムがあります。
- イーアポ (e-Apo)シリーズ
- デントリー(Dentry)
- デンタルハブ(Dental Hub)
- チョイスリザーブ(ChoiceRESERVE)
- デンタリザーブ(dentareserve)
- V-apo
無料で使えるおすすめの歯科予約システム
ここまで有料の歯科予約システムを紹介してきましたが、「まずは無料で試してみたい」と思われるかもしれません。
そこで、無料で使えるおすすめの歯科予約システムを3つ紹介します。
リゼルバ(RESERVA)
リゼルバは登録事業者数200,000社を突破した予約システムです。
簡単に設定できるうえに、設定後すぐに予約受付可能という魅力があります。
予約受付、決済、顧客管理、集客の自動化によって業務の効率化を見込めます。
歯科医院に特化した予約システムではない点や、定休日・臨時休診の設定に対応していないといった点には注意が必要です。
エジソン予約(EDISONE予約)
エジソン予約は無料プランから試せる予約システムです。豊富なテンプレートと予約テーマを選べるという魅力があります。
EDISONE予約の公式ホームページに「クリニック向けの予約タイプ」も掲載されていますし、歯科医院も導入しやすいのではないでしょうか。
RESERVAと同じく、歯科医院に特化した予約システムではなく、「何の予約をしているか分かりづらい」という口コミもありましたが、月額0円のフリープランを導入できるのは大きなメリットです。
エアリザーブ(Airリザーブ)
使い勝手がよいと評判の予約システムが・エアリザーブです。
電話もネットも一元管理できますし、歯科医院との相性が良好な「予約者が好きな時間から申し込める自由受付タイプ」も選択できます。
歯科医院専門の予約システムではなく、「予約設定の期間は3ヶ月だけ」という口コミもありましたが、無料でお試しができるのは魅力的です。
公式ホームページの事例にクリニックの感想も掲載されていたので、導入しやすい予約システムの1つといえるでしょう。
まとめ
歯科医院の予約システムを導入する前に、機能や料金、メリットを比較することが大切です。
予約管理以外に問診機能が搭載されているシステムもありますし、料金体系もさまざまなので、自院のニーズに合ったシステムの導入を考えましょう。
使いやすさやカスタマイズ性の比較も重要です。
自院のスタッフが簡単に使えて、カスタマイズ性に優れたシステムなら、導入するメリットは大きいといえます。
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歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。
2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,100以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。