昨年来、新型コロナウィルスの影響から、メインテナンス目的の受診控えが増加していることも少なくありません。
久しく歯科受診からお時間が空いてしまった患者様への受診動機としても、定期検診のお知らせなどに使用するリコールはがきは効果的です。
これまでも、「リコールはがきを自分でデザインしているがパッとしない」「はがきを何度か送っているもののイマイチ効果を実感できていない」とお悩みの院長先生も多いのではないでしょうか。
この記事では、すぐに使える歯科医院用のリコールはがきテンプレートと、リコールはがきの効果を最大化するコツを解説します。
歯科医院でリピーターが増えない理由
日本では国民皆保険制度が普及し、一般歯科治療を安価に受けられることもあり、患者さまとしては「歯医者は歯が痛くなったら行くところ」というイメージがあります。
そのため、予防のための定期検診が定着しておらず、問題箇所の治療が一旦終了すると通院を継続しなくなるケースが多いのです。
日本歯科医師会の調査によると、歯科医院で予防のための定期チェックを受けている人は33.8%と以前より増加しているものの、アメリカやスウェーデンなどの予防歯科先進国に比べるとまだまだ低いのが現状です。
また、歯科医院を選ぶ際は立地(自宅や職場から近いか)が重視される傾向にあるため、引っ越しなどで通院するのが困難になり、歯科医院を変える人も少なくありません。
一方、口腔内の健康に対する意識が高い人や治療の満足度を重視する人の場合、院内の雰囲気や治療方法が自分に合わないと感じると、より良い診療を求めて歯科医院を探し直す可能性もあります。
歯科医院でリピーターを増やすために効果的な施策
まずは、患者さまの来院状況を把握してリピーターが増えない理由を突き止めるのが肝心です。
治療を中断しているケースが多く見られた場合、診療の進め方や治療方法、院内環境、スタッフの対応などに問題がないか検討して、患者さまの満足度向上に向けた施策を検討します。
治療後のメインテナンスや定期検診での再来院率が低い場合は、メールやSMS、SNS、リコールハガキなどで患者さまにアプローチをかけましょう。
患者さまの年齢やリコール率を見て、より効果の高い方法を選択します。近年はインターネットやスマートフォンが普及していますが、リコールはがきのようなアナログな手段も依然として有効です。
予約システムやレセコンなどに、リコール施策をサポートする機能が搭載されていることもあるので、積極的に活用してみてください。
歯科医院のリコールはがきテンプレートをダウンロードできる5つのサイト
歯科医院のリコールはがきテンプレート1.ビバリーくんの素材集(モリタ)
歯科医療機器メーカー・総合商社のモリタも、歯科医院で利用できる便利な素材を提供しています。
歯に関わるイラストや院内ポスターなどのテンプレートをダウンロード可能です。
リコールはがきのテンプレートはありませんが、はがきに使える豊富な文章例が用意されています。
定期検診だけでも11種類、その他にも「ブリッジ治療患者へのリコール」「義歯患者へのリコール」などさまざまなシーンに活用できる文章例があるので便利です。
【モリタ】ハガキ文例|文例・ポスター|歯科情報ポータルサイト デンタルプラザ
歯科医院のリコールはがきテンプレート2:ライオン歯科材株式会社
歯科材メーカーであるライオン歯科材株式会社のWebサイトでは、「デジタルコミニケーション素材集」「イラスト集」「院内活用テンプレート集」「POPツール集」などを提供しています。
リコールはがきのテンプレートは、「院内活用テンプレート集」から入手可能です。
大手企業が運営していることもあり、素材のクオリティは十分。リコールはがきのテンプレートも、そのまま利用できる使用です。
DENT.Communication(コミュニケーション素材集) | DENT. | ライオン歯科材株式会社
歯科医院のリコールはがきテンプレート3:デンタルン
デンタルンは、主に歯科医院のイラスト写真素材を提供しています。
歯や歯ブラシなどの素材はもちろん、歯科医院用リコールはがき用テンプレートも多数そろっています。
文面まで入っているので、ダウンロード後そのまま使用できるのが嬉しいポイントです。
利用するには、ホームページやSNSなどにデンタルンのリンクを貼る必要がありますが、高画質JPG、透過PNGなどの豊富な素材が全て無料で使用できるのはありがたいですね。
歯科医院のリコールはがきテンプレート4.canva
canvaはブラウザベースで利用できるグラフィックデザインサービス。
あらかじめ用意された素材や、自分で用意した素材を使ってオリジナルデザインのはがきを簡単に作成できます。
有料プランも存在しますが、無料でも必要十分な機能を利用できます。
歯科医院のリコールはがきテンプレート5.歯科素材屋さん
歯科素材屋さんでは、歯科医院のポスターや配布資料、ホームページなどに使えるイラストを提供しています。
歯科医院であれば、全ての素材が無料で利用できます。暖色を基調にしたポップなイラストが多く、子どもにも親しみやすいテイストが人気です。
リコールはがき用のテンプレートはありませんが、とにかくイラスト素材が豊富なのが魅力。
画像編集ソフトを使いこなせれば、オリジナルデザインのはがきを手軽に作成できるでしょう。
歯科医院のリコールはがきの効果を最大化するコツ
定期検診を促すインパクトのあるデザインにする
歯科医院のリコールはがきの効果を最大化するためには、徹底して顧客目線に立つ必要があります。
多くの場合、自宅のポストには沢山のDMが届いており、よく見ずに捨てられてしまうことも多いでしょう。
リコールはがきを作成する際には、「ひと目見ただけで定期検診だと分かるデザイン」を意識しましょう。
細かくデザインすることは重要ですが、あまりにも情報量が多いはがきは、読まずに捨てられるリスクも高くなるので注意しましょう。
手書きのメッセージやコメントを一言添える
印刷された文章だけでは、どうしても冷たい印象を与えてしまいがちです。
手書きのメッセージやコメントを一言添えるだけでも、はがきの印象はまったく変わってくるでしょう。
「●●さん」と名前を添えたり、その人に向けた短いメッセージを書いたりすると、患者さまに対して好印象を与えることができます。
添えるメッセージは、季節のあいさつや、体調の気遣いなどが一般的です。
プライバシーにも配慮し、メッセージ内に、“義歯”や“歯周病”といったキーワードは避けた方がよいかもしれません。
はがき送付後のリコール率をチェックする
リコール率をチェックすることも大事です。
リコール率は、再来院した患者数をはがきの送付数(メインテナンスな必要な患者数)で割った数値です。
必ずこの数値をチェックし、リコールはがきの費用対効果を計算するようにしましょう。
地域や患者様の年齢層にもよりますが、平均的なリコール率は4~6割程度といわれています。
リコールはがきのデザインを変更した場合は、リコール率にどのような影響及ぼすかを確かめることも重要です。
定期的にリコール率を計算し、より効果的なデザインや方法を模索していきましょう。
定期検診・メインテナンスの重要性は来院時にきちんと伝える
「インターネットリサーチによる歯科定期受診行動に関わる要因についての調査」によれば、患者が定期受診をする理由で多いのが「安心感があるから」。
それに次いで高かったのが「歯科医師や歯科衛生士に勧められているから」です。
歯科医院のリコールはがきでの周知ももちろん必要なのですが、来院時に定期検診の重要性を伝えておくことも効果的です。
普段から患者さまと真摯に向き合い、「また通いたい」と思ってもらうようにしましょう。
リコールはがき送付のタイミングを工夫する
リコールはがきを送るタイミングは、前回の治療から3~6か月など期間を決めて送るのが一般的です。
治療終了時に次回の定期検診の内容や時期について患者さまに合意を得た上で、できれば先に仮でもいいので予約を取っておき、リコールはがきに予約日を印字するとベストです。
患者さまが予約を取ったことを忘れていて、当日は都合が悪かったとしても、リコールはがきに予約日時が記載されていれば、変更のために歯科医院に電話をかけてくれる可能性が高くなります。
また、定期検診に通っていない休眠患者に対しては、その患者さまの誕生日やクリスマス、バレンタインデーなどのイベント、歯科医師会などが実施している「歯と口の健康週間」(毎年6月4日~6月10日)などに合わせてリコールはがきを送付するのがおすすめ。
ご来院時に歯ブラシをプレゼントするといったインセンティブを付与するのも効果的です。
患者さまとの会話内容を記録しておく
患者さまごとに手書きのコメントを書こうとしても、なかなかネタが思い浮かばず、結局どれも似たような内容になってしまったという経験はありませんか?
そこで役立つのが、治療以外のプライベートな内容の会話もカルテなどにメモしておくこと。
患者さま一人ひとりにしっかり向き合う意識を持つことでスタッフのモチベーションが高まり、患者さまの満足度向上につながるメリットも期待できます。
歯科医院のリコールはがきの文面例
表題(タイトル)
まずは、定期検診を促す内容のはがきだと一目見て分かるように、最上段中央に大きく表題(タイトル)を記載しましょう。
「定期検診のお知らせ」などが定番ですが、
- 「そろそろ歯の着色や歯石が気になりませんか?」
- 「歯磨きだけではお口の健康は守れません!」
といったインパクトのある文面にするのもよいでしょう。
冒頭のあいさつ文
冒頭のあいさつ文は、「時候の挨拶」+「患者さまを気遣う言葉」といった構成にするのが基本です。
春なら「すっかり春めいて暖かくなりましたが、いかがお過ごしでしょうか?」、冬なら「寒風が身に厳しい季節になりましたが、お変わりありませんか?」といった文面にします。
メインの内容(定期検診のメリット訴求)
あいさつ文の後は、メインの内容として
- 定期検診の時期になったこと
- 定期的にメインテナンスを受けることの重要性とメリット
を伝えます。
文面例:
その後、歯やお口の具合はいかがでしょうか?
大切なご自身の歯を長く守り、いつまでも健康で美味しく食事をするためには、歯が痛くなる前にご来院いただいてメインテナンスを継続することが重要です。
○○様は毎日きちんと歯磨きしてくださっていることと思いますが、実は歯磨きだけではプラークは取り切れません。
前回のご来院から●ヶ月経ち、歯石や着色も気になる時期かと思いますので、ぜひ当院でお口のクリーニングを受けていただければと思います。
また、コロナ禍の現在では患者さまも来院に際して不安を抱えてらっしゃることも少なくありません。
検温や消毒、換気の徹底など、感染症対策に努めていることにも触れて、安心感を与えてあげるとよいでしょう。
患者さまごとの手書きコメント
最後は、患者ごとに手書きコメントを書いて締めます。
前回担当した歯科医師や歯科衛生士が書くのが望ましいでしょう。
コメント例:
○○さん、お久しぶりです。歯科衛生士の●●です。
前回おすすめした歯ブラシの使い心地はいかがでしたか? また、お悩みのことがあればお気軽にご相談ください。
定期検診でお会いできるのを楽しみにしています!」
まとめ
歯科医院のリコールはがきのテンプレートはさまざまなWebサイトで提供されており、無料で利用できる素材も多くあります。歯科関連のイラスト素材も無料で多数提供されていますので、グラフィックデザインができるソフトやサービスを使ってオリジナリティの高いデザインを自分で作成するのもおすすめです。
リコール率は歯科医院の経営を安定化させるために重要な指標です。成果につながるリコールはがきを作りましょう。
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歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。
2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,100以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。