資金繰り改善を目指す 歯科医院の資金管理法

本記事では、最初に歯科医院(歯科診療所)の事業経営において、院長が資金繰りを意識する重要性を説明した後、実際に事業の資金繰りを改善する3つのポイントを解説していきます。最後に、具体的な資金管理の方法についても説明するので、院長が歯科医院の事業を経営する上で余裕ある資金繰りをするための参考にしていただければと思います。

歯科医院が資金繰りを意識することの重要性

歯科医院の経営では資金繰りを意識することが重要です。ここではその3つの理由を詳しく解説します。

会計処理とキャッシュフローは異なる

会計処理と実際のキャッシュの流れは異なります。財務会計上は利益が出ているからといって、手元資金が多いとは限りません。例えば借入金の返済といった支出は損益計算書には載りませんし、帳簿上は売上として計上している医業収益は実際の入金までに時間がかかります。

歯科医院では、設備のリース料やテナント料、人件費といった固定費の他、材料費、消耗品費などの変動費を毎月のように支払わなければなりません。そのため、手元資金に余裕を持たせるためには帳簿上の黒字だけでなく、実際のキャッシュの流れを管理することが大切になるのです。

医業収益は入金まで時差がある

歯科医院は収益の構造上、「資金繰りが悪くなりやすいビジネス」といえます。主な理由が2つあるので、それぞれを見てみましょう。

1つ目の理由
治療を行った時点で会計上の売上が発生しますが、その時点ではまず保険料の自己負担分3割しか受け取らず、翌月に残り7割分をレセプトとして支払基金に請求してから受け取るためです。これでは実際に売上の多くが入金されるのは先になってしまいます。

2つ目の理由
テナント料やスタッフの人件費、機器のリース料、仕入れなどの経費は毎月必ず支払わなければならないためです。

つまり、医業収益の入金には時差があるにもかかわらず、その間も毎月の経費はかかるため、資金繰りが悪化するリスクがあります。

資金繰りは経営安定化に不可欠

上記のように、歯科医院は「入金は遅く、支出は早い」というビジネスモデルなので、たとえ会計上は黒字でも手元資金が枯渇しやすくなります。特に自院の患者に高齢者が多ければ、自己負担分は1割または2割なので、後日入金される金額の割合が多くなります。

このような状況が続けば、最悪の場合、黒字倒産にもなりかねないので、経営を安定させるために手元資金の管理は欠かせません。もし自院の手元資金が足りない状況が続いていて、黒字倒産のリスクがあったり、今は問題なくても今後黒字倒産の懸念があったりする場合は、必要に応じて金融機関からの融資も選択肢の1つといえます。

もし自院の手元資金が足りない状況が続いていて、黒字倒産のリスクがあったり、今は問題なくても今後黒字倒産の懸念があったりする場合は、必要に応じて金融機関からの融資も選択肢の1つといえます。

歯科医院が資金繰りを改善する3つのポイント

歯科医院が資金繰りを改善するポイントには、以下の3つがあります。

  • 資金繰りの鉄則を徹底する
  • キャッシュ主体で考える
  • 入出金の項目を洗い出す

それぞれ見ていきましょう。

資金繰り改善ポイント1.「入金は早く、支出は遅く」の鉄則を徹底する

歯科医院の事業は「入金は遅く、支出は早い」と先述しましたが、資金繰りの鉄則の1つ目は、逆に「入金は早く、支出は遅く」を心がけることです。そのためには入金が遅い決済サービスを見直したり、仕入れの支出を遅らせる工夫をしたりするといった検討が必要になるかもしれません。

資金繰りの鉄則の2つ目は「入金が支出を上回る」という状態をキープすることです。そのためには患者数の増加や自由診療の提案によって入金を増やし、不要な材料費を見直して支出を減らすなどの対策が効果的でしょう。このように歯科医院の事業運営では、「早い入金、遅い支出」の実現を試みながら、「入金が支出を上回る状態」を作り出すことが大切です。

歯科医院の事業はキャッシュフローに基づいた経営が大切です。院長先生は常に「自院のキャッシュは現在どのような状態なのか」を考えながら事業経営を行われてみてはいかがでしょうか。

資金繰り改善ポイント2.キャッシュ主体で考える

先述の通り、損益計算書や貸借対照表といった会計上の帳簿と、実際のキャッシュの動きは必ずしも同じではありません。事業の「資金繰り」という点では、あくまでもキャッシュの動きを中心に計算することが重要です。

実際のキャッシュの動きを追うことで、現在手元にいくらお金があるかを把握しやすくなりますし、短期的な資金繰りの改善だけでなく、長期的な資金計画も立てやすくなります。

資金繰り改善ポイント3.入出金の項目を洗い出す

自院の事業における入出金の項目を洗い出し、手元資金を圧迫している項目や、逆にもっと改善できそうな項目がないかを点検しましょう。入出金サイクルの見直しや、遊休資産(稼働が休止している固定資産)の売却によって改善できるかもしれません。

また、在庫管理を徹底して適切な仕入れが可能になれば、事業の資金繰りの改善につながります。在庫管理は以下の頭文字をまとめた「5S」の考え方が基本です。

  • 整理
  • 整頓
  • 清掃
  • 清潔

このような在庫管理の徹底によって資金繰りが改善されれば、自院の事業経営にも余裕が出るでしょう。

歯科医院が資金繰りで失敗しない資金管理の方法

歯科医院の院長がスムーズな資金繰りを行うには、日頃から資金管理を実施することが重要です。効果的な資金管理の方法として、以下の3つが挙げられます。

  • 1.図表化
  • 2.表計算ソフトの使用
  • 3.グラフ化

1つ目の図表化については、診療収益などの入金額と、変動費・固定費・税金・返済といった支出額を図表を用いて比較することを指します。入出金額のバランスや、どの項目が大きいかが一目瞭然です。

2つ目の表計算ソフトについては、入出金項目を「エクセル」などのソフトで一覧化し、それぞれ数字を入力して収支を計算することを指します。キャッシュの流れを正確に把握するためには、月単位ではなく大変でも1日単位で数字を入力することがポイントです。

3つ目について、エクセルなどの表データをもとに、入金と支出を折れ線グラフなどで表すことで、時系列で資金繰りの余裕度を把握できます。入出金のグラフ化によって資金繰りの余裕度が分かれば、自院の事業状態も客観的に分かるでしょう。

こうした資金管理の方法を行えば、キャッシュの動きを視覚化できるので、院長が自院の資金状況を把握しやすくなるでしょう。資金繰りの失敗を防ぐために導入を検討してみてください。

まとめ

事業の資金繰りは歯科医院の経営安定化に不可欠です。そのためにはまず、院長先生ご自身会計処理とキャッシュフローは違うことを理解し、医業収益の入金の時差について把握しましょう。

資金繰りを改善するポイントは、入出金の項目を洗い出して、「入金は早く、支出は遅く」、「入金が支出を上回る」といった状態につながる対策を考えることです。図表、エクセル、グラフを用いた資金管理も効果的です。このようなポイントを意識することで資金繰りが改善し、自院の事業経営も安定するのではないでしょうか。

《情報収集で参考にしたサイト》

「資金繰りの鉄則を徹底する」で以下を参考に致しました。
http://www.mel-con.co.jp/opinion/op10.html

「入出金の項目を洗い出す」で以下を参考に致しました。
https://www.yoshiizaimu.co.jp/2020/03/12/3022/

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