のぶ歯科クリニックを経営している丸橋伸行です。開業当初、当院に来院される患者さまは1日10人程でした。
しかし、その4年後には年商1億円になり、現在は年間新患数2,000人、年商2億円の歯科医院へと成長することができました。
スタートでつまずいた当院が、短期間で一定規模の売上を上げられたのは広告を活用したからです。
連載第1弾では、「歯科医院における広告の考え方や活用法」を私の経験を元にご紹介しました。
第2弾は「効果的な広告の作り方」についてお伝えしていきます。
これまでは広告が「患者さまを買う行為」であり「新患獲得装置」であること、勝率の高い「攻めの広告」、「守りの広告」」についてお伝えしてきました。
今回は具体的に「良い看板・良いホームページの作り方」について実例を交え解説します。
良い看板の作り方
当院の以前の看板と現在の看板
まず、より良い看板づくりのポイントについて解説します。
上記は当院の看板です。左の看板時代、新患数は年間10人でしたが、現在使用している右の看板では年間2,000人の新患を集めています。
つまり200倍の効果を出したことになります。
2つの看板を比較すると、左は万人受けするタイプですが、右は万人受けしないタイプです。
左も決して悪い看板ではありませんが、圧倒的に集患効果が出たのは右の看板でした。ではどこが違うのか次の章で解説していきます。
良い看板を作るのに必要な考え方
1.やる気を見せる
看板で最も重要なのは、やる気を見せることです。右のデザインは「歯科医師の明確なやる気」を感じるはずです。
電話番号を大きく載せている左のデザインでは、「電話してくださいね」というメッセージになっています。
2.名指しする
左と右で大きく異なるのはメッセージの主語です。左の主語は自分(自院)です。清潔感があり、安心な歯科医院だとアピールしています。
対して右は患者さまにフォーカスしています。
「歯がボロボロ」なのも「歯医者に行ってない」のも患者さまです。
右のように「自分の事だ」と思ってもらえるように名指しをしなければ、大多数の人は広告を見ただけでは行動しません。
3.「それ以外」は捨てる
明確な名指しをすると、該当しない人はターゲットから外れます。例えば、小児の看板を出せば大人を捨てなければなりません。
ターゲットを捨てるのはとても勇気がいりますが、全年齢層を狙った広告はピンボケになるため、誰の心にも響かなくなります。
左の看板はその典型例です。圧倒的な広告効果を出すためには、ターゲットを絞ることでエッジを際立たせる必要があります。
4.顔出しする
歯科医院の看板は、顔出しをした方がやる気が伝わります。
左ではスタッフを、右では自分の顔を載せています。
スタッフの顔を出すのは気を遣うところもあるので、遠慮なく顔出しをするために自分の顔を載せました。
写真は、多少のお金を払ってでも人物専門のカメラマンに依頼することをお勧めします。
なぜなら、被写体によって異なる撮影テクニックがあるためです。
この時撮影してくれた人物専門のカメラマンは、素人の私を上手く誘導してくれました。
5.文字サイズは1辺30センチ
看板の文字サイズは1辺30センチをお勧めします。なぜなら、このサイズは信号機のレンズ1つと同じ大きさだからです。
事故防止として重要な装置に用いられているサイズは、効果的に注意を引く大きさと言えます。
6.言葉とデザイン
他院のホームページや看板の言葉やデザインを転用する先生がいます。
法的には問題ありませんが、モラルに欠けていると言わざるを得ません。
重要なのは、自分の言葉で語ることです。
他人の言葉を参考にする場合は、他人の事例から最大公約数を抽出して、自分の事例をつくるとオリジナルの文言を生み出せます。
良いホームページの作り方
私の初めての広告は、ホームページでした。ホームページのみで自費診療の集患をし、スタッフゼロで年商1億円まで到達しました。
ここで、私の経験で得た「良いホームページ」の作り方を紹介します。
目的を明確にする
医療機関のホームページは、「商用ページ」と「啓蒙ページ」の2種類に大別されます。
商用ページは集患を、啓蒙ページは医療知識の提供を目的とするものです。 ホームページを作成するなら、どちらのページをつくるかをはっきり決めることをお勧めします。
本稿では、商用ページの作成方法を解説します。
訴求要素を偏らせる
ホームページは訴求点(=売り)により、以下の4つに分類することができると考えます。
実際の医院運営は、複数の要素が絡んだハイブリッド型がほとんどです。
ハード型の町医者型もあれば、特定治療に特化した名医型もあります。
現実に即して満遍なく要素を詰め込んだホームページは、商用ページでは特にお勧めできません。
なぜなら全体の印象がぼやけ集患できないためです。
歯科医院の要素を表現するポイントはこの「偏らせ方」にあります。
メインの要素で6割を作成し、4割を残った要素で作成するイメージです。
この6:4の比率にすることで、エッジを効かせた集患効果の高いホームページにできます。
勝負は5秒
患者さまがホームページのトップページを開き、滞在するかどうか判断する時間は5秒間だと言われています。
あまりにも短い時間ですが、逆に言えば5秒間だけ耐え得るトップページであれば問題はありません。
そこで、「5秒間を耐えるためのトップページ構成」を解説します。
1.歯科医院であることがわかる
意外なことに、トップページを開いた瞬間に歯科医院かどうか分かりにくいホームページは少なくありません。
患者さまは歯科医院のホームページを期待してサイトに訪れたわけですから、歯科医院らしくない雰囲気のページはすぐに離脱してしまいます。
基本情報が一瞬で視界に入る
基本情報はおろそかにされがちですが、患者さまは「自分が通える範囲」で歯科医院を探しています。
歯科医院を探す患者さまの希望を叶えるのは、ホームページを開いた瞬間、またはスマートフォンであればワンスクロールすれば見える位置に「所在地・電話番号・診療時間」が目に入る配置にすることです。
顔が見える
スタッフの顔が見えるということは、患者さまの安心感に繋がります。
通院している状況をイメージしやすくなるため、実際に働いている人の写真や診療風景を載せることをお勧めします。
ホームページは更新すべきか?
ホームページは、制作当時と現状があまりにもかけ離れていない限り、作り替える必要はありません。
自院のコアな部分が変わっていなければ「ホームページと違う」などとクレームになることもないでしょう。
ホームページと看板は一度出してしまえば終わりなので、実は面倒くさがりな先生に向いています。
SNSは常に情報を更新しなければならず、マメな先生でなければ継続できません。
また、SNSの更新を「自分でするのは面倒だから」と、スタッフに任せるのは、おすすめできません。
SNSに対する先生ご自身のモチベーションが維持できないことや、先生の思いや考えを確実にスタッフに伝えるのは難しいからです。
最後に
本連載を通し、広告が「患者さまを買う行為」であり「新患獲得装置」であることをお伝えしてきました。
広告を上手く活用すれば、「立地の不利を逆転させる」「マネジメントを円滑にする」など多くのメリットがあります。
そして、勝率のいい広告をつくるには「どこで」「だれが」「だれに」「何を」言うかがポイントです。
効果的な広告は、経営を安定させ、歯科医院さらなる発展につながります。この記事が先生方の集患のお役に立てれば幸いです。
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<丸橋 伸行先生の書籍紹介>
丸橋 伸行 著
(デンタルダイヤモンド社)
歯科初!患者さんが集まる「広告」のコツ、教えます。
『月刊デンタルダイヤモンド』の人気連載「宣伝で年間新患2,000人! 歯科医院経営における広告学入門」が待望の書籍化。
ホームページや看板における、コンテンツ(内容)の作り方・見せ方、制作業者とのやりとりといった、ゼロからでも集患力の高い広告を作るノウハウを大公開。
また、ノウハウのみではなく、広告を出す際のマインドや、歯科医院経営に広告を活かす方法も解説されています。
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のぶ歯科クリニック 院長
1999年 広島大学卒、2006年 神戸市でのぶ歯科クリニックを開業。
立地と紹介に頼らない歯科医院作りをテーマに、広告を中心とした集客で歯科医院を運営。看板とホームページを活用してショボい立地で年間新規患者数2,000人となる。
その経験をもとに、チェアーが埋まらない院長に対してシークレットコンサルを行う。
一方でマネジメントで悩む院長に対しては『マネジメント熱心な院長が医院を破壊する』『スタッフとの距離を詰めるな』『マネジメント問題の8割はマーケティングに問題がある』と独自の切り口でアドバイスを行っている。