「医院に貢献してくれる歯科助手を採用するには何を見ればよいのか?」という疑問を抱える先生は多いことでしょう。
採用には相応のコストがかかりますし、できれば長くしっかりと働いてくれる人を採用したいものです。
この記事では、歯科医が優秀な歯科助手を獲得するために覚えておきたい、面接で聞くべき質問や採用のポイントを解説します。
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歯科助手の面接で聞くべき11の質問
歯科助手の面接で聞くべき質問1:志望動機(なぜ歯科助手になりたいのか)
歯科助手の求人に応募してくる人は、経験者もいれば未経験者もいます。
経験者の場合は「なぜ今後も歯科助手を続けようと思うのか」をしっかりと聞いておきましょう。
歯科助手という仕事に対するその人の姿勢や今後のキャリアプランを確認できます。
また未経験の場合は、特に志望動機を詳しく聞いておく必要があります。
「未経験OKだったから」「求人で見かけたから」というふんわりとした理由で面接を受ける人も多くいます。
「どうして歯科助手になりたいと思ったのか?」「患者様とどう接したいのか」ということを軸に、本気度や仕事観を考察しましょう。
歯科助手の面接で聞くべき質問2:自院を選んだ理由
次に聞いておきたいのは「なぜ当院を選んだのか?」という点です。
採用活動や新人教育にはコストがかかるため、せっかく採用した人にはできるだけ長期間自院に貢献してもらいたいものです。
そして歯科助手として長く働いてもらうには、「治療方針」や「理念」に共感してもらえていることが重要です。
もちろん職場環境や業務内容、待遇などの条件面は求職者が最も重視するポイントです。
一方、やりがいにつながる仕事内容や経営方針などが本人の希望と合致しているかどうかは、前向きに仕事に取り組んでもらう上で不可欠といえます。
歯科助手の面接で聞くべき質問3:前職を辞めた理由
面接を受けに来るということは、新卒者以外は前職を辞める予定、あるいはすでに辞めている場合がほとんどです。
「どうして前職を辞めたのか」「どのような環境や業務、条件が合わなかったのか」「辞めた原因は、自院で働くことによってどう解消されるか」を軸に質問していきましょう。
仕事を辞める理由は人それぞれです。ステップアップのために円満退職することもあれば、職場環境や条件、人間関係などトラブルが原因で辞めてしまうこともあります。
ここで、前職の院長(歯科医)や同僚の批判ばかりを口にしたり、同じような理由で複数回転職を繰り返したりしている場合は要注意。
スキルや経験が豊富だからと採用しても、またすぐに辞めてしまうばかりか、他のスタッフのモチベーションに悪影響を及ぼす恐れもあります。
自院で働くことで本人の希望を叶えられるか、それが医院経営にプラスの影響を与えるかどうかを、お互いのためにきちんと検討しましょう。
歯科助手の面接で聞くべき質問4:勤務先に最も求めるもの
応募者が職場に対してどのようなことを求めているかを聞くべき理由は2つあります。
1つは、その人にとって職場や歯科助手の仕事がどのような意味を持つかを知るためです。
ワーク・ライフ・バランスを実現するための働きやすさや、患者さまの健康に貢献できるやりがいなど、人によって答えは違うでしょう。
もう1つは、ミスマッチを防ぐためです。
自院の求める人物と合致したからといって前のめりに採用を決めても、その人が求める職場環境を提供できなければ、早期離職のリスクが高まります。条件面はきちんとすり合わせることが重要です。
ただし、こうした面接でよく聞かれがちな質問に対しては、“あらかじめ用意された回答(建前)”が返ってきがちです。
給与や待遇面を重視するのは当たり前ですから、希望条件に隠れた本音を聞き出せるよう掘り下げましょう。
歯科助手の面接で聞くべき質問5:前職での具体的な業務内容
前職でどのような業務をしていたかを聞くことも重要です。歯科医院によって歯科助手が任される仕事の範囲は異なります。
「どのような業務ができるのか」を事前に確認しておくことで、採用後の流れもスムーズになります。
歯科助手の場合は異業種からの転職というケースも多いでしょう。その場合も「これまでの経験を自院でどのように活かせるか」という観点から、前職での具体的な業務内容を確認することは重要なポイントです。
歯科助手の面接で聞くべき質問6:前職で挙げた実績・最も成功したこと
前職での具体的な業務内容を聞いた後は、「そこでどのような対応をし、成果を挙げたか」を詳しく聞いていきましょう。
この質問によって、「仕事に対する熱意を持っているかどうか」「目標達成に前向きに取り組んでいるかどうか」「自主性をもって業務にあたっていたかどうか」を見極めることができます。
言われた業務を漫然とやっていただけの人にとっては答えづらい質問なので、その人の「仕事に対する意識」を確認した上で、自院の求める人物像に合致しているかを推し量ることができるでしょう。
歯科助手の面接で聞くべき質問7:自院で活かせると思うスキル・経験
職歴と併せて「これまでに培ったスキルを自院でどう活かせるか・どう対応できるか」という質問をしましょう。
その人の能力を具体的に把握することはもちろん、具体的にどんな業務で自院に貢献する意欲があるかどうかも確認できます。
未経験者の場合は、「歯科助手として勤務することを具体的にイメージできているかどうか」を確認する意味でも重要な質問です。
経験者の場合は、前職での業務内容やレセコン・予約管理システムの使用経験を詳しく聞いてみましょう。
歯科医院によって歯科助手の業務範囲には差があり、求められるレベルも異なるからです。
例えば、アシスタント業務のスキルを具体的に知りたいなら、アルジネートで印象を取るときの手順や気を付けている点などを聞いてみます。
印象材やセメントの練和はスキルの差が出るポイントの一つで、当たり前のようにできるだろうと思って採用後にやらせてみたら、気泡だらけだったり混水比が適切でなかったりするケースは少なくありません。
また、一般的な歯科助手業務に直結するようなスキル・経験以外にも、広告やSNS運用などのマーケティング、動画編集、POP・ポスター製作など医院経営に役立てられる知識・スキルを有している場合もあるため、そういった仕事にも対応できるか確認してみるとよいでしょう。
歯科助手の面接で聞くべき質問8:今後のライフプラン・キャリアプラン
「どのようなライフプラン・キャリアプランを思い描いているか?」を聞き、長く前向きに勤務してくれるかどうかを確認しましょう。
もちろん人によってさまざまな人生設計や希望の条件があります。「結婚したらすぐに辞めるつもりだ」というのもその人の人生です。
しかし採用する側にとって重要なのは「歯科助手として長く自院のために働いてくれるか」です。
採用する側の歯科医にとして、「歯科助手としてこうなりたい」という、具体的な話を引き出すことができればベストです。
歯科助手の面接で聞くべき質問9:あなたが人生において大事にしていることは?
面接で重要なのは応募者の「人となり」を知ることです。「人生において大事にしていること」を聞けば、その人のものの考え方や人柄、価値観、希望する仕事の条件を理解することにつながります。
そしてこの質問は「歯科医である私や当院はあなたに興味を持っている」というメッセージでもあります。
「応募者を理解したい」という気持ちを示すことによって、相手に好印象を抱いてもらうことができるでしょう。心を開いてもらえば、本音も聞き出しやすくなります。
歯科助手の面接で聞くべき質問10:難しい状況における対応
受付やカウンセラーとしても活躍する歯科助手は、患者さまの来院を促進し、より良い治療を選択してもらうための働きかけをする役割を持ちます。
同時に、患者さまとコミュニケーションをとる機会が多いため、必然的にクレームやトラブル対応などをする機会も多くあります。
患者さまからすると、歯科医師や歯科衛生士に比べて、医療専門資格を持たない歯科助手は良くも悪くも自分の思いを伝えやすい存在なのです。
そこで、コミュニケーション能力やカウンセリングスキルを確認するためにも、
- 患者さまに対して歯の治療の重要性をどのように伝えるか
- 患者さまが腹を立てたときの対応
などを聞いてみるとよいでしょう。
歯科助手の面接で聞くべき質問11:患者さまの個人情報の扱い方
歯科助手・受付は予約の管理やカルテの管理、レセプトの作成など患者さまの個人情報に触れる機会が多いため、個人情報の扱い方にも配慮する必要があります。
面接での質問を通して、プライバシー保護の重要性をどの程度理解しているのか把握しましょう。
歯科医院は個人情報の利用目的をホームページや院内に掲示し、それに則って個人情報を適切に扱わなければなりません。
歯科助手は予約確認やリコールのために、患者さまに電話やメール送信をするケースもあるため、個人情報保護法に関する一定の理解も不可欠です。
また、最近ではブログやTwitter、InstagramなどのSNSを通じた情報漏えいなどのトラブルも増えています。
医院で集患や情報発信のためのブログやSNSアカウントを運用している場合、歯科助手が更新を担当することも多いため、ITリテラシーの有無も重要なチェックポイントです。
歯科助手の面接における医院の心構え
面接前の連絡のやり取りや服装・態度なども確認する
選考プロセスは面接前から始まっています。質の高いサービスを提供する資質を見極めるためにも、相手の印象や連絡のやり取り、服装・態度なども細かく観察するようにしましょう。
特に歯科助手は「歯科医院の顔」ともいうべき重要なポジションです。
1人の歯科助手の印象や対応により医院の信頼が失墜するケースもあります。
面接をする際は、申し込みから最後の見送りまで、しっかりと応募者の人間性を観察するよう心掛けましょう。
条件面は面接段階できちんとすり合わせる
先ほども少し触れましたが、条件面は面接の段階できちんとすり合わせておきましょう。
求職者は複数の医院に応募しているケースがほとんどです。
待遇面のすり合わせを怠ってしまうと、応募者がそのまま他院に決めてしまうおそれもあります。
また条件面をすり合わせることは、「応募者とのミスマッチ」を防ぐ意味合いもあります。
採用後に「条件が合わないからやっぱり辞めます」といったことが起これば、また一から採用活動を始めなければならなくなり、多大なコストがかかってしまうことになります。
自院の魅力もきちんと伝える
面接は応募者がアピールする場所でもありますが、同時に「歯科医院が自院の魅力を伝える場」でもあります。
特に昨今はワーク・ライフ・バランスが重視される傾向が強く、休日や残業など職場の働きやすさが細かく見られる時代になっています。
少しでも良い印象が与えられるよう、可能な限り要望に対応する気持ちがあるなど、しっかり伝えましょう。
特に「研修・教育体制はしっかりしているか」「スタッフ同士の仲は良いか」など、歯科助手の求職者が職場選びの際に重視するポイントについては、自院の魅力を余さず伝え「勤務しやすい職場」と思ってもらえるようしましょう。
まとめ
面接では定番の質問を何とはなしに投げかけているというケースも多いかもしれません。
しかし、自院に貢献してくれる人材を採用するためには、今回ご紹介したようなポイントを押さえて本音を聞き出し、求める人物像と一致するか慎重に見極める必要があります。
長期的なトレンドとして、歯科業界は「売り手市場」であり、歯科助手の人材確保も困難になっているため求職者が職場や条件を選べる状態です。
応募者を深く知ることはもちろん、「医院側も面接されている」意識を持ち、良い印象を与えられるよう真摯に面接に取り組むようにしましょう。
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歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。
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