歯科医院は地域医療に貢献できる 院長に依存しないクリニックとは

歯科医院の経営コンサルティングをしている渡部憲裕です。

私はこれまで多くのクリニックの年商1億円達成をサポートし、歯科医院経営を撤退する際の出口戦略の成功実績を重ねてきました。

その要因は、急用や病気などで院長が不在の際でも機能する歯科医院の仕組みづくりに成功したことにあります。

本連載では、その「院長不在クリニックの仕組み作り」について解説します。

そして昨今、新型コロナウイルスの蔓延により、世の中の価値観は大きく変化しました。

災害などのジャパンリスクに備えつつ、afterコロナのニューノーマルに対応していくために医院経営の見直しは急務です。

連載2回目となる今回は、地域医療や院内の状況から院長不在クリニックの必要性をお伝えします。

院長不在クリニックが必要な理由

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(画像=pixta)

患者さまが求めているのは「院長」ではなく「医療」

医療従事者である院長先生には、次のような想いがあると思います。

  • 地域で一番のクリニックを継続したい
  • 地域医療に貢献したい
  • 患者さまのために良い治療がしたい

このような想いを叶えるべく、日々現場で奮闘しているのではないでしょうか。

人手の問題などでクリニックを離れられないという院長先生も多いかと思います。

しかし、これらを実現するために院長先生が必ず現場に立っている必要はありません。

なぜなら患者さまが求めているのは「院長」ではなく「医療」だからです。

創立者がいなくなった松下電器や三菱財閥が今も残っているのと同じく、クリニックの創立者である院長先生がいなくても歯科医院の存続は可能です。

クリニックを存続させて、地域に貢献し続けたいのならば、歯科院長ではなく「医療」や「人」を残すべきです。

かつては「〇〇院長が診てくれるから」「近いから」といった理由で、患者さんは歯科医院を選んでいましたが、今の時代、これだけで生き残っていくのは難しいと思います。

時代の変化に伴い、歯科医院のクオリティを冷静に評価するように患者さんも変化したのです。

院長不在クリニックをつくる意義

地域医療に貢献し続けるために最も大切なのは、まずクリニックが存続することです。

クリニックの存続とは「ドクターや歯科衛生士、スタッフがいつもそこにいる」ことであり、地域の患者さまに大きな安心感を与えます。

これが地域のために院長不在クリニックの仕組みをつくる意義です。

前回お伝えしたように、院長の不在が原因で機能しなくなるクリニックはいずれ廃院へと向かうことになります。

つまり、廃院してしまったら長期的な地域医療の貢献ができなくなるということです。

院長先生ご自身が「診療が好き」「患者さまと接しているのが好き」などの理由から現場を離れるつもりがなくても、病気をはじめとした突発的な要因で現場を離れる可能性は常にあります。

院長不在でも機能する仕組みがクリニックやスタッフ、家族や院長先生ご自身を守ってくれますし、院長先生が常駐するクリニックだったとしても、医療だけに集中できるというメリットがあります。

いずれにせよ、院長不在で回るクリニックの仕組みは整備しておく必要があるのです。

渡部流「院長不在クリニック」とは?

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(画像=pixta)

私が提案する院長不在クリニックには、いくつかの特徴があります。

  1. 半永久的に持続可能な仕組みで地域医療への貢献が継続的に可能
  2. 勤務医、院長先生の双方にメリットがあり、勤務医が長く働いてくれる
  3. 役割分担で仕事効率が格段にUP
  4. 予防診療による売上の安定化
  5. 院長先生の自由時間が圧倒的に増える

1.半永久的に持続可能な仕組みで地域医療への貢献が継続的に可能

まずあげられるのは「持続性」です。半永久的に持続可能な仕組みのため、長期的に地域へ貢献できます。

特定の個人やルールに依存しない仕組みだからこそ、100年は持続可能だと思っています。

2.勤務医、院長先生の双方にメリットがあり、勤務医が長く働いてくれる

この仕組みは勤務医・院長先生の両者にメリットがあります。

勤務医が「押し付けられている」と感じてしまう仕組みでは、とても継続はできません。

勤務医が「やりがいがあるな」と感じられる職場であれば、長期間働いてくれるようになるため、人材不足の解消にも有効です。

3.役割分担で仕事効率が格段にUP

スタッフにとって働きやすい環境が整うのも特徴です。スタッフの役割分担が柔軟にできるようになると、仕事効率が上がります。

私が人材育成で大切にしている「育成される人を見守る環境」も整うため、経験の浅いスタッフも安心して働ける職場になります。

4.予防診療による売上の安定化

予防歯科に力を入れることで予約も継続的に入るようになり、結果的に売り上げが安定します。

5.院長先生の自由時間が圧倒的に増える

予防診療に注力すると売上が安定するようになります。

結果として、院長先生は経済的自由を獲得できると同時に、自由時間も圧倒的に増えます。

歯科院長がいなくても機能する「院長不在クリニック」の仕組みができれば、これらの全てが実現可能です。

今回は、「院長がクリニックが必要な理由」と「院長不在クリニックをつくる意義」についてお伝えしました。

次回はより具体的に、院長不在クリニックに必要な勤務医の定着や、教育について解説します。

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渡部 憲裕

ライフプランニングサークル シャラク 代表
歯科医師

激戦区の東京都において、開業わずか10年で8つの分院を作り、年商9億円を達成して、それを10年継続。現在は月の半分を海外で過ごすセミリタイヤを実現。

自身の医院を全て売却・継承し、その経験を元にセミナー活動を行い、優秀な歯科医師の発掘やプロデュースなどを手掛ける。

自らと同じようなライフスタイルを目指す歯科医師を育成するために、ライフプランニングサークル「シャラク」を運営。オーナー型歯科医院運営や仕組みを所有するためのノウハウを提供している。